2022年05月28日( 土 )
by データ・マックス

日立製作所、日立建機の株式半数を売却へ~建機、伊藤忠の資本受け入れの狙いは?(後)

 日立製作所は上場子会社の建設機械大手、日立建機の保有株の約半分を伊藤忠商事と国内投資ファンドの日本産業パートナーズに売却する。日立のITを軸としたグループ再編が最終段階を迎えた。

首位のコマツに売上高で3倍、純利益で4倍の差

 日立建機(株)は昨年10月26日、2022年3月期の連結決算(米国会計基準)の業績予想を上方修正した。売上高にあたる売上収益は前期比13%増の9,200億円、調整後営業利益は2.3倍の740億円、純利益は4.4倍の460億円の見通し。それぞれ従来予想を400億円、120億円、137億円上回る。

 欧米を中心に景気刺激策や住宅開発の増加を受けて、油圧ショベルなどの販売が伸びる。資源価格の上昇により、鉱山機械の受注も増える。為替相場の円安も寄与し回復は鮮明だが、新型コロナウイルス感染拡大の前の19年3月期と比べると利益はまだ3割低い水準にある。

 国内首位のコマツ((株)小松製作所)の22年3月期連結決算(米国会計基準)は、売上高が前期比22%増の2兆6,830億円、純利益が76%増の1,870億円の見込み。売上高で3倍、純利益で4倍の差を付けられている。

日立建機の業績

日立建機、伊藤忠の資本を受け入れて北米市場で巻き返し

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 日立建機は22年2月末、米機械大手のディア社との業務提携を解消する。折半出資したディア日立(ノースカロライナ州)の持ち分をディア社に譲渡する。日立建機の22年3月期の純利益460億円には、ディア社との合弁事業解消にともなう一時的な利益(約190億円の見通し)が含まれる。

 日立建機は1988年に米州での事業拡大を狙い、ディア社と提携し、油圧ショベルなどの技術を供与してきた。販売は現地に強い代理店網をもつディア社が担ってきたが、伸び悩んでいた。日本経済新聞(1月15日付朝刊)はこう報じた。

 〈そのため北米での日立建機ブランドの油圧ショベルのシェアは2000年ごろの約10%から足元では数%にまで低下。約30%の米キャタピラーとの差は開いていた。地域別の売上高比率でみても北米は17%とコマツの23%を下回る。

 英国の機械専門誌KHLグループによると、日立建機の世界シェアは4.5%と8位。首位のキャタピラー(13.0%)や2位のコマツ(10.4%)などを追いかけるためにも北米のテコ入れが課題だった。3月にディアとの提携を解消することにより「北米の自社展開は白紙となる」(平野耕太郎社長)なか、伊藤忠などと組み事業拡大に再挑戦する。〉

 日立建機は北米での販売やサービスをディア社に委託していた。これからは自前で販売網を構築しなければならないが、いまさら不可能だ。伊藤忠に物流を頼らざるをえない。

 それでは、伊藤忠が日立建機の出資に踏み切った狙いは何か。伊藤忠は今後成長が見込まれる海外の建設機械事業の強化を後押ししてきた。20年3月には、建設機械をオンラインでレンタルする事業を手がける米新興企業、ビッグレンツ(カリフォルニア州)と資本業務提携するなど、この分野のビジネスを強化している。今回の出資によって、北米のネットワークを活用しながら日立建機の販路やサービスを拡大し、収益を取り込む狙いがある。

 一方、日立建機は立ち遅れている北米市場で挽回するため、伊藤忠に期待しているのである。

(了)

【森村 和男】

(中)

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