2022年05月28日( 土 )
by データ・マックス

【経済事件簿】投資セミナーに利用されたのか 中間市とBGS プロジェクト(4)

 コロナ禍に揺れた 2021年、度重なる陽性者数の増減に対し先行きに不安を覚えた人も数多くいるだろう。先行きへの不安・不満が漂えば、より活発化するのが“いい話”を盛り込んだ投資話。昨年、派手な演出と PR からひと際注目された投資事業がある。半沢龍之介氏による BGS プロジェクトだ。半沢氏は 21 年 4 月 21 日、福岡県中間市の一日市長に就任。
 一般人向けに行われた投資セミナーでは、半沢氏への信頼の証としてその様子が PR されていた。

中間市と包括連携協定

 BGS事業の投資セミナーにおいて、トータルプロデューサーである半沢氏の「凄さ」と「いかに信用できる人物か」が終始訴えられていたことは前回述べた。しかし、いくらオンラインゲームや電動自転車、NFT、スマートフォンアプリについて語ったところで、セミナー参加者の9割以上は高齢者。すぐに信頼を得るのはなかなか困難だ。そこで畳みかけるようにPRしているのが福岡県中間市との包括連携協定だ。

 高齢者の信用を得るのに地方自治体と包括連携協定を締結しているという事実は「効果バツグン」だ。セミナーでは、中間市と協定を結んだ事とともに半沢氏が中間市の一日市長を務めた動画が紹介されている。

 中間市はこれまで上場企業をはじめとした複数の企業と協定を結び、福田健次市長のもと積極的な企業誘致を行っており、Click Holdings(株)もそのうちの一社。しかし、中間市とBGSプロジェクトの目的と内容にズレが生じてきているようだ。

協定書に署名する福田市長とオンラインで出席した半沢龍之介社長(中間市ホームぺージより)
協定書に署名する福田市長とオンラインで出席した半沢龍之介社長
(中間市ホームぺージより)

中間市・福田健次市長の見解

 今回の協定について福田市長に話をうかがったところ、セミナーの内容とは、かなり乖離していることがわかった。すでにいくつかのネットや動画でBGSプロジェクト、半沢氏についてのネガティブな情報が発信されていることもあって、福田市長のもとには心配の声が続々と届いているという。

 福田市長は「私たちはClick Holdings(株)と包括連携協定を結んでおりますが、BGSプロジェクトには一切関与しないと明言しています」と力強くコメントした。

 中間市のHPには、以下のように記載されている「中間市/ClickHoldings(株)と連携協定を締結

「雇用振興」として、チェーンレス自転車を製造する工場を中間市内に建設していただき、地域における雇用確保を図ります。
また、この自転車を特産品として「ふるさと納税」返礼品とすることで、納税額増を目指していきます。
「eスポーツ」「メディア」に関する協力として、eスポーツ大会やゲームPRの一環としたメディア向けのキャラクターイベントを中間市内の会場で開催したいと考えます。

 福田市長は、HONBIKEにおける雇用振興と「ふるさと納税品」返礼品にすること、同社が取り組んでいるVR事業に注目していたとしている。

 しかし、工場建設の話は頓挫しており、返礼品に関しては、半沢氏より「不可」という連絡を福田市長は受けている。なぜかと言うと電動自転車を返礼品とするには、製造過程のみならず、必要な部品などもmade in 中間市である必要があるため、実現が困難だからだ。現在、Click Holdings(株)と中間市の関連は、HONBIKEの販売代理店があるという一点のみとなっている。

 また、福田市長は、投資セミナーで中間市との協定を結んだことがPRされていたのをまったく知らされていなかった。一日市長については、「Click Holdings(株)のもつVRやIT技術、新技術で中間市の子どもたちに明るい未来を見せてほしい」ということで了承したということだが、協定の先駆けとなるはずだった、ふるさと納税返礼品や工場建設が頓挫していることに関しては残念そうな表情を浮かべていた。

 福田市長は「仮に投資事業や危うい事業に中間市が利用されていて、一般市民に被害がおよぶようなことがあれば、断固として許せるものではない」とコメントしている。

(つづく)

【特別取材班】

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