2022年06月30日( 木 )
by データ・マックス

山口FGの再建を考える 関係者、読者からの声(2)

 NetIB-Newsには、山口FG関係者や読者から数多くの山口FG再建策が寄せられている。その内のいくつかを以下に紹介していく。

(2)中四国地方の第二地銀との統合

山口フィナンシャルグループ    山口FGは周囲の有力銀行との統合が難しく、第二地銀を糾合していくことが最善とする意見もあった。そもそも、山口FGに属するもみじ銀行は第二地銀であり、その延長で岡山のトマト銀行、四国の愛媛銀行、高知銀行、香川銀行といった第二地銀を糾合して拡大するというアイデアである。たしかに、福岡県、広島県で展開している山口FGは、福岡銀行や広島銀行との統合は難しいように思われるが、愛媛銀行とはすでに提携関係にあり、このような選択肢はあるのかもしれない。
 しかし、第二地銀の側から見て山口FGの傘下に入ることが魅力的なのかというと疑問に感じる。第二地銀に山口FGのノウハウを注入すれば成長できるとの意見もあったが、それほどのノウハウをもっているとも思えない。また、日本経済新聞や毎日新聞といった全国紙の記事でも山口FGのパワハラ体質が知られることとなったため、相手側は統合に慎重になるのではないだろうか。

【吉村前会長が描いていた山口FGの姿】

 ここで、ふと気になったことがある。吉村猛・山口FG前会長はどのような姿を描いていたのだろうか。アイフルとの新銀行構想ばかりが目立つかたちとなってしまったが、思い描いていた山口FGの姿があったのではないか。今回、吉村氏に仕えていたという人物に取材することができた。吉村氏は山口FGが単独で生き残るために次のような姿を描いていたようである。

■リテール部門の銀行本体からの分離

 吉村氏は、住宅ローンや投資信託、保険販売といった銀行の機能を子会社であるワイエムライフプランニング(YMLP)に移管することを構想していたという。この構想では、YMLPに銀行と証券会社、保険販売の機能をもたせ、グループ内の銀行や証券会社以上に幅広い商品を取り扱う店舗として展開しようとしていたようだ。要するに「ほけんの窓口」のような店舗で銀行サービスを展開しようとしたのである。保険ひろばの買収は、この構想の実現のためだった。

 YMLPでは、銀行や証券会社のような販売目標(ノルマ)から解放し、顧客に最適な提案を行うことを目指していたという。さらには、そこで取り扱う商品は山口FGのものに限らず、顧客視点にたって最善のものを、という方針だったようだ。そのため、グループ内に証券会社(ワイエム証券)がありながらSBI証券との提携を行ったという。吉村氏は他行に比べて劣勢の北九州市小倉駅前からYMLPが運営する総合金融ショップ「保険ひろば+」の展開を開始する。

 ゆくゆくは、このYMLPに銀行支店や住宅ローン専門店舗「ローンプラザ」で行っている業務も移管し、この分野を担当する銀行員の転籍も視野に入れていた。これと並行して、銀行員のような固定給ではなく、歩合給部分を取り入れた給与制度が検討されている。吉村氏には銀行員の安定志向を劇的に変えたいとの思いもあったように思われる。

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 吉村氏は、銀行本体からリテール部門の販売機能をなくし、商品開発機能のみを残すことを理想としていたようだ。そして、その商品開発機能も大胆な構想を描いていたようである。主要な融資商品である住宅ローンでは、自前の住宅ローンを大幅に縮小し、インターネット銀行の低利な住宅ローンを導入する考えだったという。住宅ローンの審査には人手と手間がかかっており、維持するには相応のコストがかかる。自社で審査機能を抱えていてはインターネット銀行のような低金利での融資は困難である。そのため、ネット銀行の代理店として低金利の住宅ローンを提供しようとしていたというのだ。

 また、インターネット・バンキングでは、スマホのアプリをインターネット銀行から調達し、そのノウハウを山口FGに注入することを考えていたようである。これらの構想を実現するためのパートナーがSBIグループだったようだ。

(つづく)

【特別取材班】

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