2024年04月20日( 土 )

【提案】箱崎キャンパス跡地を「グリーンフィールド」に(後)

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新•都市開発のレギュレーション

 計画を進めていくなかで、具体的なアプローチを提案してみたい。有効に働くようであれば、ぜひ取り入れてみてほしい。

【レギュレーション(運営編)】

手法①…具体的で総合的な思考

 具体的なかたちを創造する段階では、インテリアデザイナー(空間デザイナー)を参画させてほしい。なぜなら彼らは、身体感覚が近い思想で仕事をするので、より具体的な空間の創造に長けている。インテリアデザイナーは建築家より、都市計画家より身体的に、具体的に思考する“構想家”だといえる。逆に都市計画家は、建築家よりインテリアデザイナーより抽象的に思考する。よって、具体的な思考が求められるプロジェクトの上流に、インテリアデザイナーを入れてみてほしいのだ。

手法②…権限と責任を若い世代に託し渡す

 実務裁量権、決定権の年齢を55歳以下などに限定する(経済・社会・人材のため)。

手法③…アイデア段階では、手書きによるドローイングのみ採用

CADの想像は人間の創造を超えられるか
CADの想像は人間の創造を超えられるか

    CAD(Computer Aided Design)は設計や製図をコンピューターで行うことだが、最大の問題は、建築をデザインするときに、CADの手順を思考が踏襲してしまうという点だ。人間がコンピューターに引っ張られてしまうのだ。設計する人間の思考が、コンピューターの考え方を真似し、タスクの手順に沿ってしまう。効率面では非常に役に立つツールだが、CADでのアイデア出しは事例を踏襲していくようなコピペのアイデアに収束し、また動員段階で参加者の間口が狭くなってしまうことが懸念される。

手法④…個人の名前で勝負するものに資格を

 サラリーマン的建築家が都市をつくっていると、退屈なものしかできない。効率化や生産性を、どのくらい上司の色眼鏡に叶うかに終始してしまうきらいがあるからだ。日本社会は設計者の9割以上がサラリーマンだが、欧州では大きな設計会社なんてそもそもなく、基本は個人の名前で勝負するアトリエの人たちだ。

手法⑤…関係者は広く募る

 アイデア出しの参加者をくじ引きで決める。選ばれた人は「あったらいいもの」を1つ提示できる。自分のアイデア以外のものに1つ投票する。みんながハッピーになる「みんなの成長」を、世代を超えて採用する。


松岡 秀樹 氏<プロフィール>
松岡 秀樹
(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。

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