【提案】箱崎キャンパス跡地を「グリーンフィールド」に(後)
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もっともっと具体的に
箱はあくまで付随していく副次的なもの。建築ありきで都市開発していくような20世紀型のまちづくりではなく、「そこで何をしていきたいのか」といった思想が先にあり、「なぜそれをつくるのか?」という“Why”を最大限化することで建築は深耕していく。
巨大な老人養護施設ではなく、さまざまな世代が交流しコミュニケーションすることが可能なグループホームを。巨大な統合小中学校ではなく、多くの小さな学校を。巨大な病院ではなく、多くの質の高い町の医院を。巨大な図書館や公民館ではなく、住んでいる人もそうでない人も訪れることのできる小さな図書館や劇場やサロンを。ランドリーカフェやサテライトオフィス、シェアハウスやコーポラティブハウスを。
新しい都市の創造は、小都市(地域)の集合体にある。もっともっと具体的に、そして楽しげに、小さくても市民レベルで自由に根を張れるような文化が育つ風土を。それらを実行できるようなデザインを。看板や事業は、注目され見つけてもらう必要があったので、かつては駅前や目抜き通りに多く集まっていた。現代では事前に調べてそこを目指し、遠方から狙い撃ちでやって来る。面白い人がいれば、そこを中心に楽しい場所に変わっていく。人の流れや勢力図が変わってくる。街が分散型により近づいて、“都心”じゃなくても“都市化”させていくことはできるということが描写できる入居配置、空間構成が、新しい都市像になっていくことを願っている。
たとえば、アートにとって本質的なのは、作品そのものよりも、作品が生み出されるまでの過程にある。アート的な都市とは、知覚に問いかけてくる、もしくは無作為に触れることができる“探求の根”にこそ宿る生態ともいえる。表面的な“表現の花”を眺めるのは20世紀的な都市像であり、「アート思考」にこそ、次世代の都市作法と旧来の教育体制の問題点が観られるかもしれない。次号では、「アート思考」で捉え直す都市の作法について、深堀していきたい。
<プロフィール>
松岡 秀樹(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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