「BRING」が進めるサーキュラーエコノミー

日本環境設計（株）／JEPLAN,INC.
取締役執行役員会長　岩元 美智彦 氏

「BRING」が目指す地上資源の循環型社会

　──「BRING」を通じて伝えたいことは。

　岩元　当社のケミカル技術によって何度もリサイクルを行うことで、良くなることが2つあります。1つは、不要になった衣服の焼却処分の必要がなくなることによるCO₂削減。もう1つは、衣服の製造において新たな資源を使わないこと。地上資源の循環型社会ができれば、地下資源の奪い合いがなくなる。そうすれば、地球環境と世界平和が両立できるんじゃないかと思っています。

　それを夢で終わらせないためにも、世界中の人々に、不要品を「BRING（持ち込んで）」してもらうことで、活動に参加してもらいたいです。仕掛けづくりは得意なので、リサイクルとは無関係と思われるようなワクワクする企画も考えて、それが実は循環型社会の貢献になるんだよ、ということをうまく発信できれば…。

　──2月にシリーズCで総額35.2億円を資金調達されたことを発表されています。今後の展開をお聞かせください。

　岩元　北九州響灘工場や子会社であるペットリファインテクノロジー（株）（※）の存在価値をより強固なものにし、「あらゆるものを循環させる」というビジョンの実現に向けて、引き続き国内外のパートナーと連携を進め、サーキュラーエコノミーをリードしていくことに努めてまいります。

（※）日本環境設計（株）は2018年3月、独自のケミカルリサイクル技術でペットボトルのリサイクルを行うペットリファインテクノロジー（株）（2008年設立）を完全子会社化。

日本環境設計（株）北九州響灘工場
管理課課長　園田  雄俊  氏

　北九州響灘工場は、全国から回収した古着をソーティング作業によって素材ごとに分け、それぞれ別のプロセスでリサイクル、または製品化して、皆さまに届ける循環型サプライチェーンを構築する役割を担っています。

　アパレルブランド「BRING」は、服から服に循環させることで、リサイクルに参加された皆さまに、服の循環を実感していただける点に価値を感じます。ほかのものではなく、再び服に生まれ変わることで、消費者の方も「リサイクル」を身近に感じることができると思います。

　なかなかSDGsに取り組めない企業さまも、当社が進めるユニフォームのリサイクル事業「BRING UNIFORM」に参加することで、従業員も身近に感じやすい環境保全活動になると思います。

　今後もいろいろな企業さまを「BRING」でつなぎ、あらゆるものを循環させていきたいと思います。そのためにも、「ミツバチくんの回収ボックス」がどんどんと広まってほしいですね。

＜INFORMATION＞
所在地　：北九州市若松区響町1-120-6（北九州市響灘臨海工業団地内）
敷地面積：1万9,710²
建築面積：2,668m²
竣　工　：2016年11月（第1期事業）／2017年11月（第2期事業）

（了）

【松本　悠子】

＜プロフィール＞
岩元  美智彦（いわもと・みちひこ）
1964年鹿児島県生まれ。北九州市立大学卒業後、繊維商社に就職。営業マンとして勤務していた95年、容器包装リサイクル法の制定を機に繊維リサイクルに深く携わる。2007年1月、日本環境設計を設立。資源が循環する社会づくりを目指し、リサイクルの技術開発だけではなく、メーカーや小売店など多業種の企業とともにリサイクルの統一化に取り組む。15年アショカフェローに選出。著書『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』（ダイヤモンド社）。

＜COMPANY INFORMATION＞
日本環境設計（株）／JEPLAN,INC.
代　表：高尾　正樹
所在地：神奈川県川崎市川崎区扇町12-2
創　業：2007 年1 月
資本金：62億3,000万円（資本準備金含む）
ＵＲＬ：https://www.jeplan.co.jp