過去の事例に見る JT工場跡の再開発
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【浜松市】
一条工務店「浜松版スマートタウン」
JT浜松工場は15年3月に閉鎖された。同工場の敷地面積は約10万6,000m2(約3,200坪)。静岡県浜松市中区西伊場町に位置しており、住宅に囲まれている。同工場跡地は解体が進められ、更地となっていた。
同工場跡地を18年1月に取得した(株)一条工務店は、同年12月に「浜松版スマートタウン認証申請」を行った。「浜松版スマートタウン」とは、各建物に太陽光発電や太陽熱利用など地域特有の再生可能エネルギーなどを導入し、スマート機能を有する街のこと。また、街区共同での再生可能エネルギーやICTなどを活用し、建物同士のネットワークによるエネルギー需給の総合的な制御など、平常時のエネルギーの効率化と非常時の電源確保ほか、防災面にも優れている。
同社は約180戸の宅地と100戸規模のマンションの分譲販売を行い、公園や商業施設も整備する予定。また戸建住宅は耐震性を高めるとともに、1戸あたり出力10kWの太陽光発電パネルの設置を推奨する計画となっている。
宅地造成工事などの基本区画整理は今年3月末に完了し、これから住宅や商業施設などが建設される予定となっている。また、約10万6,000m2のうち、約6万2,000m2が住宅地として活用される。
閉鎖から各地のまちづくりへ
鹿児島市、浜松市のほかにも、これまでに多くのJT工場跡地が再開発された。その多くが広大な敷地のため、すべての土地を1社が取得・開発を進めることは少ないようだが、分けられた土地でも大型開発が進められる実例が多い。
神奈川県平塚市の工場跡地には、大型商業施設「ビバモール湘南平塚」(22年秋オープン予定)と大型分譲マンション「シティテラス湘南平塚」(425戸、23年3月竣工予定)。また同県小田原市には、「イオンタウン小田和原久野(仮称)」が23年度中の完成を予定している。また、石川県金沢市のJT金沢工場跡地(約10万6,000m2)では、金沢市による区画整理が行われ、住宅地区、近隣商業地域、準工業地域などに分けられた。住宅地には現在、主に戸建住宅が立ち並んでいる。
22年4月現在、JTが国内に要する工場は、北関東工場(栃木県宇都宮市)、東海工場(静岡県磐田市)、関西工場(京都市伏見区)、友部工場(茨城県笠間市)の4工場のみとなっている。同社はしばらく4工場体制で国内生産する意向を示しており、各地で進められてきた「工場閉鎖から再開発」の流れも、九州工場跡地の行く末をもって一旦落ち着くと見られる。
(了)
【麓 由哉】
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