“アート思考” でとらえ直す都市の作法(5)
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未来へ“提案の種”【施行編】
「フィアレス・シティ」
国家が押し付ける新自由主義的な政策に、反旗を翻す革新的な地方自治を目指す都市のこと。国家に対しても、グローバル企業に対しても、恐れずに住民にために行動することを目指す。
二酸化炭素排出量削減のために包括的で具体的な改革プラン
・都市公共空間の緑化
・電力や食の地産地消
・公共交通機関の拡充
・自動車や飛行機・船舶の制限
・エネルギー貧困の解消
・ごみの削減、リサイクルなど逆開発
千葉県市原市を拠点とする小湊鐵道は、養老渓谷駅の駅前広場(2,000m2)の舗装を剥がして土を入れて植樹した。ここを雑木林にして郊外の自然とつなげるという発想で、その開発の仕方を通常の開発行為とは逆の開発だとして「逆開発」と呼んだ。
「成長の限界」を見定め、“すでに開発された場所のみに建て、未開発の土地その隣接地には建てない”という思想【リビング・ビルディング(生きた建築物)】の表現方法の1つにあたる。歩道は、砂利道・土道が良い。舗装があると降水が地面に浸透できなくなり、それが都市に水害を起きやすくしている。また、舗装面の照り返しがヒートアイランド現象をもたらすほか、光の乱反射や騒音も起きやすい。街路樹や庭木といった単木でも、日陰効果と葉の蒸散作用によって、気温や地表面温度に一定の冷却効果があることが研究発表されているし、舗装を剥がして土面にすると、花粉が土に吸着されて飛ばなくなる。舗装のままだと吸着されることなく、風に吹かれると浮遊していくのだ。
土地は公有に
住宅地の確保のために、一種の“土地収用法”のような法律をつくって、国が住宅用の土地を買い上げていくという方法も考えたい。土地価格が上がりすぎて、一般の人の手が届かなくなってしまった東京のような地域では、土地を私有し、効率を落として一部の人だけが貴重な空間を占有する戸建住宅は原則として制限し、いろいろなかたちの借家を増やしていく方向がベストではないかと思えてくる。賃貸住宅を、現在のように大部分が民間に頼るような状態では、その質は決して高くならない。だから、国や地方公共団体のような官主導で、その供給の担い手にならなくてはならないと思う。
<プロフィール>
松岡 秀樹(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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