2024年04月26日( 金 )

【独裁者プーチン・グローバル化を“破壊”(4)】ユダヤ人と日本人(補足)

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プーチン大統領、戦争宣言できず

 5月9日の対ドイツ戦勝記念日に、ロシアのプーチン大統領は勝利宣言も戦争宣言も行わなかった。気迫溢れる雰囲気を微塵も感じさせなかった。本音は「策極まってしまった」というところであろう。

 こうなると戦争は長期化する。ウクライナ側も戦争の長期化は負担が大きくなる。だが、それ以上にロシアが不利になる。というのも、プーチン独裁政権が揺らぐ破目になるからだ。独裁政権の信用基盤は「連戦連勝」である。戦線が硬直すると、プーチン政権への不満が高まってくるであろう。

頭に乗る北朝鮮

 ここにきて強気なのが北朝鮮である。アメリカの警戒網も緩んでいるとみて、舐めきっているのか、連日ミサイル発射に勤しんでいる。まるで「日本にいつでも打ち込んでやる。福岡でもどこでも狙い定めているぞ」と高圧的である。

 ウクライナ侵略が始まって3カ月近く経ち、「北朝鮮のミサイル開発の黒幕はロシアであった」ことが露わになったというべきであろう。すべてがロシアの動きに連動している。「北朝鮮は日本を標的にしている。油断できない」という危機感が、ようやく能天気な日本人にも浸透し始めた。

マスク氏が警告

 10日付の朝日新聞(朝刊)が報じていた。一部を引用する。

 「米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7日のツイートで、日本の昨年の総人口が記録的な落ち込みになったことについて『明らかに言うようだが、出生率が死亡率を超えるために何かを変えない限り、日本はいずれ存在しなくなる。これは世界にとって大きな損失になるだろう』と警告した」。

 マスク氏から心配されるうちは、まだ救いようがある。日本の存在価値を認めてくれているからだ。ところが、ウクライナ戦争やコロナ禍の過程で戦争とは関係なく、日本の人口減少が加速化する。そうなると、「日本民族の消滅は自ら選択したものだから仕方がないか」とマスク氏は考えるだろう。彼の脳裏から日本が消える事態になると想像すると、恐怖感が募る。日本株が泥沼にはまり込むことに反して、ユダヤ株は上昇するのみである。日本人の9割はまだ安堵しているが、もう時間は残されていない。

鹿児島地方の人材は東京が収奪

南九州市 イメージ    筆者の義兄は鹿児島県川辺町出身(現・南九州市)。南九州市とは名前負けしている。兄妹7人で、地元に1人(長男が跡取り)、鹿児島県のある市に3男が在住する。2人が鹿児島県に残った。残りは転出。長女は東京に嫁いだ。末男が東京。4男は大阪。福岡周辺に次女と次男である義兄の2人が定住したのである。困ったのは、遺伝的にがんに罹りやすい家系であること。義兄を含め3人ががんで没している。存命の2人もがん患者である。

 さて、故郷の川辺町は薩摩半島の真ん中に位置している。この町は周辺で経済商圏が成立していた。

 別の4人兄弟の例を語ろう。こちらの家族は大隅半島出身。1人は地元大隅に定住した。残りの2人は東京に居を構えた。東京定住者たちはそれぞれ子ども連れで盆休みと正月に里帰りし、家族付き合いは濃厚であった。年老いて、兄弟たちの子どもが大隅を訪問することも減り、疎遠となった。その子どもたちも家族を形成するようになる。兄弟たちから見れば孫たちである。彼らは「自分は東京出身」という意識しかない。3代目で「薩摩出身」という意識が消えるのである。

 大隅半島でも薩摩半島でも、それぞれに地域経済圏を保っていた。生活苦から活路を求めて「上京するぞ」という流れが本格化し始めたのは、1953年前後だった。鹿児島県ばかりではない。全国から「東京へ、東京へ」と人の移動が始まったのだ。東京は人口が急増し、都市化が加速化する。東京への一極集中化と繁栄の先導化が全国に波及する効果はある程度見られた。時間軸として成功の役割はあった。鹿児島県だけでなく全国から人材を収奪して、東京一極の経済構造が強化されたのである。

 しかし、過度な東京への一極集中は日本経済に歪みを生じさせた。定期的に地方活性化の政策が打たれたが、ことごとく失敗に終わった。「地方の繁栄抜きで東京の1人勝ちはあり得ない。共存共栄抜きには東京の繁栄に限界がある」という認識は浸透してきた。そこで「地方創生」というスローガンを繰り返し掲げても、もう遅い。地方の人口が急減し、自力で地方経済を賄う規模を喪失させてしまったからだ。

地方個性時代が懐かしい

 たとえば、鹿児島県の人口動態変化を見てみる。かつて同県は全国でも強力な力を有していた(明治維新の最大の貢献藩)。同県の人口のピークは200万人であった。筆者が学生時代に180万人台であったことを鮮明に記憶している。だが、今やあと3年もすると150万人を割ることは確実だ。奄美大島群島には20万人の人たちが生計を営んでいた。現在は驚くことに8万人まで落ち込んでいる。

 大学入学の際、筆者のクラスで自己紹介が行われた。80人の定員である。このクラスの合格者の70%は九州大学一期受験を失敗している。クラスの45%が福岡県出身者であった。それぞれが出身を語る。「私の出身高校は京都高校です」といえば、「行橋市かな」と自己問答していた。「私は臼杵高校です」と紹介すれば、「こいつは大分県だな」と考えた。1966年当時、各地では、地域ブロックごとに経済圏を保持していた。振り返ると、懐かしさがこみ上げ、落涙する。

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ユダヤ人と日本人(前)

 ところが、ウクライナ戦争の長期化で第三次世界大戦勃発の危機感が高まってきた。一極集中の歪みで日本は脆弱になっている。東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・福岡の6都市に致命的な打撃を浴びせれば、日本は終わる。なぜならば、「日本の絶体絶命の環境を打破しよう」という気概のある日本人が少数派であるからだ。日本が覚醒に向けて歩む道は、「ユダヤ民族のように2600年、世界を流浪するしかないのか」と問答する昨今である。

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