2024年04月26日( 金 )

「ららぽーと福岡の長期的ファン増やしたい」三井不動産

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三井不動産(株)
商業施設本部 リージョナル事業部
事業推進グループ
主事 高山 卓磨 氏

 九州初進出となった大型商業施設「ららぽーと」。青果市場跡地に誕生したららぽーと福岡は、計画中にコロナ禍に見舞われたものの、設計変更などを通じてニューノーマルにも柔軟に対応。消費や体験をのびのび楽しめる交流拠点として、また、周辺エリア活性化の契機として、早くも地域活性化に寄与している。

注目していた福岡へ挑戦

    ──まずは九州初進出に至るまでの経緯をお聞かせください。

高山 卓磨 氏
高山 卓磨 氏

 高山 青果市場跡地の再開発に関しては当社も早くから注目しており、同跡地活用事業の事業予定者に選定される4年以上前から構想を練っていました。構想実現に向けて、地場有力企業である九州電力と西日本鉄道の両社とともに事業検討を進め、2018年の公募に当社を代表企業とするグループとして挑戦しました。ららぽーと福岡オープンまでの計画中にコロナ禍に見舞われるなど、社会環境の大きな変化もありましたが、屋外を充実させた施設計画や、JR博多駅から1駅という市中心部との交通アクセスの良さもあり、多数の魅力的なテナントに入っていただけました。

 ──構想の初期段階において、那珂6丁目のエリア特性をどう捉えられていましたか。

 高山 先ほど述べたように、市中心部からの交通アクセスの良さには注目していました。また、この地に根付いていた青果市場の記憶を承継することが、再整備には重要だと考えていました。そのため、ららぽーと福岡ではフードコ―トやレストラン、マルシェなど、「食」をテーマとした施設の充実を図りました。また、竹下商店街や近隣の学校など、地域コミュニティがしっかりしたエリアでしたので、地域との連携も意識した施設運営を目指しました。

 JR竹下駅周辺と西鉄大橋駅周辺をつなぐ、新しい商圏の要として、ららぽーと福岡という存在が新たな賑わい創出の一助になれればと思います。

新たな交流拠点へ

 ──ららぽーと福岡のメインターゲット層については、どのようにお考えですか。

 高山 幅広い層の皆さまにご来場いただきたいと考えていますが、そのなかでも子育て世代はとくに力を入れて応援しています。今夏オープン予定のキッザニア福岡、福岡おもちゃ美術館、MIFAサッカースクールなど、ららぽーと福岡での体験や思い出が、将来につながるような施設やアクティビティを多数用意しています。地域に愛され続けるためにも、子どもや学生など、若年層も楽しめる空間を提供することで、ららぽーと福岡の長期的なファンを増やしていきたいです。

 ──ららぽーと福岡の特徴をお聞かせください。

 高山 ららぽーと福岡の最大の特徴は、地元の人気店から九州初上陸のお店まで、多彩なコンテンツがそろっている点にあります。インターネットでモノが買える時代に、スポーツ、エンタメ、食、教育に至るまで、何度も足を運びたくなるような、ここでしか体験できないサービスを提供しています。

 また屋上には、陸上トラックやパブリックビューイングが楽しめる大型ビジョンなどを備え、芝生広場のスポーツパークとして活用することにしました。オープン当初は、利用者も「どう使えばいいのか?」という様子が見受けられましたが、まさに公園のように芝生に座ったり寝転がったりする人が増えていき、今では運動だけではなく憩いの場としても機能しています。施設をどのように使えばいいのかを、利用者側で考えてさまざまな答えを見つけ出していく光景には、私たちにとって驚くこともあり、学ばせてもらいました。屋上の一部は当初、駐車場を整備する予定でしたが、計画を見直した結果、広大なスペースを確保することができ、将来的にも楽しみなスペースをつくることができました。

 コロナ禍も徐々に落ち着きを取り戻してきましたので、今後はパブリックビューイングを生かしたスポーツの試合観戦、音楽や映画鑑賞など、皆さまと一緒に盛り上がれるイベントを企画していきたいと考えています。

幅広い世代が利用する屋上の芝生広場(スポーツパーク)
幅広い世代が利用する屋上の芝生広場(スポーツパーク)

 ──ほかのショッピングモールと比べると内部も広いため、人が多くても歩きやすいと感じました。

 高山 閉塞感のないように、大きな吹き抜け構造を採用するなど、意識的に広い空間構造にしました。また、来ていただいた方に豊かな時間を過ごしていただきたいと考えており、さまざまな場所に子どもの遊び場や休憩用のイスを設置しています。これにより、子どもと母親が座って休んでいる間に父親はショッピングを楽しむなど、幅広い世帯がそれぞれのシチュエーションでららぽーと福岡を楽しめるようにしています。買物だけしてすぐ帰るような施設ではなく、ゆっくりしていただいて、いろいろな時間の使い方ができるようにしたいとの思いからの取り組みです。

ららぽーと福岡 施設内の様子
ららぽーと福岡 施設内の様子

    ──やはり目を引くのが、巨大なガンダム立像です。

 高山 ガンダムをはじめとしたさまざまなコンテンツにより、お越しいただく層の裾野が広がっていけばと思っています。「福岡にこんな面白いところがあるんだ」と思っていただける、福岡の“新しい顔”となる施設を目指していきます。ここでしか体験できないコトを共有してもらうことで、新たなコミュニケーションが生まれることを願っています。

 ──最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 高山 地域に対してどのような貢献ができるのかも重要だと考えており、たとえば竹下商店街との共催でのお祭りや、近隣学校の吹奏楽部による演奏会の開催など、地域コミュニティとともに、地元の活性化にも取り組んでいきたいと考えております。また、「経年優化」を目標に掲げながら、すべての利用者の皆さまに「ららぽーとができてよかった」と思っていただける施設づくりを目指していきます。

【吉村 直紘】

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