2024年05月20日( 月 )

住宅営業の初期提案の時間と労力を削減 施主の需要見いだし、最適なプラン提案~「My Home Robo」(後)

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安心計画(株)
 代表取締役社長 小山田 隆広 氏

 「働き方改革」の潮流もあり、建設業界はDXへの取り組みを積極的に行い始めた。さまざまなITベンチャーが登場し新たなSaaSを提供するなか、安心計画(株)では1988年の設立より、ソフトウエアを使った住宅メーカーの営業支援を行ってきた。同社が新たにリリースする「My Home Robo(マイホームロボ)」がどのような変革をもたらすのかについて、代表取締役社長・小山田隆広氏にうかがった。
(聞き手:(株)データ・マックス 専務取締役 緒方 克美)

 小山田隆広氏(以下、小山田) 数十年前までは、プラン決定権は旦那さま1人にありました。しかし、近年は共働きをはじめとした多様なライフスタイルが広がり、打ち合わせ段階からさまざまな方の意見が投じられるようになりました。その結果、回を重ねるたびにプランを変更する必要性が生まれ、プレゼンボードや図面の作成に膨大な時間がかかっています。また、そのプレゼン資料作成においても競合他社との差別化のために、より手の込んだものをつくり上げなければなりません。このような膨大な作業をこなさなければならないため、データづくりに1週間費やすことも珍しくないそうです。「My Home Robo」ではそれらの資料作成をAIが5分で行います。具体的には、同一間取りでテイストの違う3タイプの外観パースを超高画質CGで出力できるほか、実際の敷地との整合性をチェックできる設計CADデータも出力可能です。

 さらに、360度パノラマVR画像の展開や、顧客フォローのための遠隔接客システムまで搭載したオプションも用意しています。

 近年はとくに、ウッドショックをはじめとした資材高騰が続いており、てこ入れしなければ現状の金額維持は困難です。住宅メーカー各社がコスト削減に常に頭を悩ませていますが、最大のコストは人件費です。資料作成の時間をなくすことができれば、設計者はより多くのアイデアを生み出したり、これまで時間に追われて手を付けられずにいた資格の勉強をしたりと、自己研鑽のためのクリエイティブな時間に充てることができます。

安心計画(株) 提案ツール3点

非言語領域から潜在顧客を探し出す

 ──営業の方にとってはクロージングに役立ちそうです。

 小山田 そのままCADデータにダウンロードして施工段階に入ることもできますが、施主さまにとってはアンケートの回答さえ済んでいれば、次に会う時には自分の好みのデザインに近いプランが見られます。従来であれば、何度も打ち合わせを重ねて徐々に出来上がるデザインが一気に詰められるので、「微調整のためにまた会ってみよう」と思わせるための初期段階の接触機会をつかみやすいツールになるのではないでしょうか。

 住宅展示場の来場者にも、「今すぐ建てたい」という人もいれば、「ただ足を運んでみただけ」という人もおり、本気度の見極めは難しいのですが、「My Home Robo」を使うことで、アンケートにすぐ答えたり、ウェブ上のプランを何回も見ていたりする「ホットなお客さま」を探し出すことができるのです。また、提案プランの「どこを」「いつ」「何回」見たかという情報が集積されますので、その人気度合いの統計をとるなど、そういうデータを「オススメプラン」の項目に反映させることで情報のブラッシュアップも図れます。

安心計画(株) 営業マンとお施主

 ──コンテック(ConTech)という言葉が生まれたように、建設業界では近年、ベンチャーやスタートアップ企業が提供するSaaSによるDXが盛んですが、それらとの違いはありますか。

 小山田 CADソフトと連動していることです。ITベンチャー企業が提供しているプランニングソフトはあくまでイメージにすぎず、そのほとんどが建築基準法などの法規をクリアできていません。そのため、プランをCADデータに落とし込み、建築可能なかたちまで微調整を加える必要があります。しかし、「My Home Robo」はCADデータをベースにしており、いわば「CADデータをわかりやすくイメージ化」したまったく逆のツールです。さらに、イメージだけでなく、敷地情報の入力により構想中の物件が建築可能かどうか、より現実的に検証できるので「実際に建てられる物件」を提案することができるのです。

 ──今後、多様な展開が見込めるのではないでしょうか。

 小山田 このシステムが1つのプラットフォーム的な立ち位置にまで昇華されると、「このプランはこのような施主さまに適している」「このような施主さまにはこのようなプランが好まれる」といった情報を素早く提供できるようになると思います。それは間取りに限らず、住設機器やインテリアやガーデニング、さらにリノベーションにまで波及していくサービスが開発可能ですので、新たな展開も構想できるのではないかと思います。

 また、安心計画は「IT導入補助金」の導入支援事業者として採択されており、このたび「My Home Robo」も対象ツールとして認定されたので、これからはより皆さまにご利用いただきやすくなると思います。

(了)

【文・構成:杉町 彩紗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:小山田 隆広
所在地:福岡市博多区博多駅前3-22-8
    朝日生命博多駅前ビル8F
設 立:1988年3月
資本金:1億円
売上高:(22/1)10億4,705万円
マイホームロボ公式サイト:https://my-homerobo.com/
https://my-homerobo.com/


<プロフィール>
安心計画(株) 代表取締役社長 小山田 隆広 氏小山田 隆広
(おやまだ・たかひろ)
北九州市出身。保険会社や海運会社勤務を経て、1984年に富士通代理店として独立、建設原価会計システムの販売を開始。88年に安心計画(株)を設立し、住宅CADやCGシミュレーションソフトによる工務店や住宅メーカーの営業支援を展開。最新のITによる支援サービスを常に提供し続け、現在に至る。2016年には盛和塾「稲盛経営者賞」を受賞。趣味は読書(古典・歴史)。

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