2024年03月28日( 木 )

リーマン、コロナを経て「もてなし」に磨き 和食、鉄板焼きの「たかしるや」

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 祇園で和食創作料理、西中洲で鉄板焼きを運営する「たかしるや」。落ち着いた佇まいと素材を引き出す味付けでファンが多い。活況を取り戻したが、2店ともリーマン・ショックとコロナ禍を経験した。それが自社の特徴を再認識する契機となった。

祇園出店直後にリーマン直撃

山本 淳二 代表
山本 淳二 代表

    学卒後、懐石料理店などで10年ほど腕を磨いた「たかしるや」代表・山本淳二氏。厳しい業界ながら経験を積むほどに引き出しが増えることが喜びとなった。次第に「自分の描いたメニューを自在に提供してみたい」という思いが募り、2008年に和食創作料理の「祇園たかしるや」を出店した。屋号は万葉集が由来。飲食業の先輩でもある母のアドバイスに従った。当初は楽観していたが、景気が悪化するなか、1年間ほど苦戦が続いた。

 それでも、強みの魚介料理や山本氏の人柄が知られるにつれて認知度が広がった。心強かったのは、開業時のスタッフ陣が苦境をともに歩いてくれたこと。「徒弟制度は時代に合わない」という山本氏。従業員とは「友達感覚」で付き合うことを心がけている。また、「おいしさを知ることが大事」として他店での飲食を推奨。時には飲食代のサポートもしている。いまや「祇園たかしるや」の人材は味、接客、運営ともに安心して任せられる存在だ。

強みを突き詰める

たかしるや    こうしたなか19年4月、西中洲に出店する機会を得た。高級店が立ち並び、腕試しにはこれ以上ない舞台だ。「西中洲たかしるや」は短時間営業でも高い付加価値を提供できる鉄板焼き店。「宮崎牛」や「くまもとあか牛」を那珂川の夜景とともに堪能してもらう趣向だ。「祇園たかしるや」での実績もあり順調に滑り出したが、1年後にコロナ禍が到来した。お客の半減に晒されたが、時間ができた。自社の特徴を再認識し、付加価値の強化を決意。メニュー開発に取り組み、「ます」や「ちりめん」などの明太子料理「めんたいシリーズ」をつくった。今春から客足は回復しているが、今後も同シリーズを磨き上げる構えだ。

 「名店がたくさんあるなかで、存続できているのはお客さまのおかげ」と苦境時に支えてくれた常連客に感謝を示す。次は料理人の聖地・銀座への出店を見据える。逆境を2度乗り越えた「たかしるや」は、さらに付加価値の提供を突き詰めることを決意している。

西中洲たかしるや
西中洲たかしるや

【鹿島 譲二】


<INFORMATION>
(株)たかしるや

代 表:山本 淳二
URL:https://takashiruya.com/

■祇園たかしるや(創作和食料理)
2008年7月オープン
所在地 :福岡市博多区祇園町6-36-1F
TEL :092-282-3160
営業時間:午後5時~11時
定休日 :日曜日

■西中洲たかしるや
2019年4月オープン
所在地 :福岡市中央区西中洲4-4 RIN FIRST3F
TEL :092-406-8811
営業時間:午後5時~11時
定休日 :日曜日

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