2022年08月20日( 土 )
by データ・マックス

進行する天神ビッグバン&博多コネクティッド(3)

 今号で「I・Bまちづくり」は第50号を迎えた。本紙ではこれまでに、福岡都市圏をはじめとした各エリア・各都市の開発動向やまちづくり施策などについて数多く取り上げてきたが、なかでも2017年2月末発刊の創刊号から折に触れて継続的に取り上げてきたのが、天神ビッグバンおよび博多コネクティッドなどの福岡都心部における再開発プロジェクトだ。今回、本誌第50号の節目に、これらの再開発プロジェクトを改めて振り返るとともに、現在の進捗状況などを見ていきたい。

博多コネクティッド

博多コネクティッド

博多版“ビッグバン”本格的な進行はこれから

 19年1月に始動が宣言された、福岡市の新たな再開発促進プロジェクト「博多コネクティッド」。博多駅から半径約500mの約80haを対象エリアに、容積率などの規制緩和や国の金融支援、税制優遇などによって、耐震性の高い先進的なビルへの建替えを促していくほか、交通基盤拡充などによって都市機能の向上を図っていこうというプロジェクトだ。

 建替え促進のためのインセンティブ「博多コネクティッドボーナス」では、つながり・広がりが生まれる広場の創出など、賑わいの拡大に寄与するビルに対して最大50%の容積率を緩和。また、通常は容積率に算入される屋根がかかる広場や通路などの公開空地の評価も、屋根がない場合と同等の評価(最大2.5倍)が適用される。これにより、ビル自体の床面積をしっかり確保しながらも、公開空地による賑わい創出に貢献できる制度としている。

 ビルの建替え目標は2028年末までに20棟で、市の試算では目標を達成した場合の10年間の建設投資効果が約2,600億円、建替え完了後には、年間約5,000億円の経済効果が見込まれるとしている。交通インフラ整備などの独自の取り組みも含まれているが、基本的には博多版“ビッグバン”といって差し支えないだろう。

 なお、エリア内での建築確認申請数は15棟(19年1月~21年2月)、21年2月末時点での竣工棟数は7棟となっている。開始から1年後にコロナ禍に見舞われたこともあり、天神ビッグバンに比べると、再開発プロジェクトの本格的な進行はまだこれからといったところだ。以下、いくつか進んでいる大規模プロジェクトの現状を見ていこう。

博多イーストテラス

 19年3月に惜しまれつつ閉店したボウリング場「博多スターレーン」跡地では、NTT都市開発(株)と大成建設(株)の2社による共同事業として、博多エリア最大級のオフィスビル「博多イーストテラス」の開発が進められており、今年8月の開業を目前に控えている。

博多イーストテラス
博多イーストテラス

    博多イーストテラスは、約4,900m2の敷地にRC造地上10階・塔屋1階、延床面積約2万9,200m2のビルを建設するもの。ビル名称には、エリアのさらなる発展に寄与する新たな拠点となり、働く人のみならずここを訪れるすべての人の生活をより豊かにしていくという思いが込められている。エリア最大級の基準階約2,200m2の無柱空間を有し、オフィスワーカーの目的や気分に応じて働き方や場所を自由に選択可能な多彩なワークスペースにより、すべてのオフィスワーカーのWell-being(身体的、精神的、社会的な健康・幸福)およびABW(Activity Based Working)をサポートし、新しい働き方の推進を後押しするというコンセプトだ。また、駅東エリアでは希少な緑あふれる広場をビルの南北に配置し、1 階にはタッチダウンスペースやカフェ、屋上にはテナント専用の多目的スペースを備えるほか、カフェではさまざまなテーマのイベントを定期開催し、新たなコミュニティやイノベーションの創出に貢献する。さらに、入居企業の事業継続のために、ビル自体の地震対策だけでなく、最大2mの浸水対策も施されているほか、災害対応のための防災備蓄品や充電スペースも確保するなど、BCPの強化も図られている。

 今年5月には、1階部分のテナントとして九州初上陸のノルウェー発カフェ&バー「FUGLEN(フグレン)」と、(株)NSFエンゲージメントが運営するスモールオフィス「(仮称)博多イーストテラススモールオフィス」の入居が決定した旨が発表された。まもなく開業を迎えるが、博多スターレーン跡地の新施設とだけあって、博多駅東エリアの新たな“顔”となり得るかが注目されている。

【坂田 憲治】

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