2024年04月25日( 木 )

世界中に拡大する「サル痘」 日本にも上陸!(後)

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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

ワクチン イメージ    オランダの会社以外にも、アメリカのワクチンメーカー2社がすでに開発を進めています。ババリアン・ノルディックの「ジンネオス」とシガ・テクノロジーの「Tポックス」です。こうして手回しよく、ワクチンが開発、製造されるようですが、ウイルスの変異が急速に進むため、「2022年末の時点ではワクチンの効果が効かなくなる」との予測も出されています。

 とはいえ、シガ・テクノロジーの株は急騰中です。また、天然痘ワクチン「ACAM2000」はサル痘にも効果が期待できるとの情報が駆けめぐり、同ワクチンの製造元「エマージェント・バイオソリューションズ」の株価も同様に急上昇を遂げています。

 今後の感染状況次第とはいえ、日本への上陸もすでに始まっており、予断を許しません。日本ではまったく報じられていませんが、バイデン大統領は、このサル痘用のワクチンを開発中のババリアン・ノルディック社の治験を実施しているペンシルベニア大学病院付属のシンクタンク「ペン・バイデン・センター」の創設者にほかなりません。サル痘が広がり、ワクチンが売れれば売れるほど、バイデン大統領のファミリービジネスでもある同シンクタンクに配当金が支払われることになっています。

 そうした背景もあり、バイデン大統領は韓国と日本に対して、「いつでもワクチンを提供する用意がある」と伝えたわけです。その後、後藤厚労大臣が「現時点で、日本ではサル痘の感染は確認されていないが、万が一、日本で感染が起きても、テロ対策として備蓄しているワクチンがあるので大丈夫」と発言しましたが、これはアメリカからの提供を念頭に置いたものと思われます。

 それどころか、コロナとサル痘のダブルパンチで、アメリカでは「秋の中間選挙は延期せざるを得なくなるのでは」といった観測も出ています。支持率の急落で厳しい選挙になっているバイデン民主党にとっては、「願ってもない感染症」と言っても過言ではありません。その実態はまだ解明されていませんが、コロナの次は「サル痘」という可能性は高まる一方です。

 当初、楽観的だった日本政府も国内で2人の感染者の発生が確認されたため、「今後はWHOとも連携し、注意を怠らないようにしたい」と発表。6月10日からは海外からの旅行者の入国制限も順次緩和する方針を打ち出した日本政府ですが、今後は変更を迫られるかもしれません。

 要は、コロナに加え、サル痘という未知の感染症が急拡大するという危機的状況が生まれているわけです。今こそ、世界が一致協力して対策に乗り出す必要があります。と同時に、個別の投資家やワクチンメーカーが「濡れ手に粟」で大儲けするような状況は回避せねばなりません。

 しかも、ワクチンによる副作用というリスクもあります。コロナ用のワクチンも同様ですが、天然痘やサル痘用のワクチンに関しても懸念が払しょくされていません。アメリカでは過去40年に渡り、天然痘でもサル痘でも感染者が死亡する事例は皆無でした。その半面、天然痘のワクチンを接種した結果、副作用に見舞われ、死亡した人の数は5,700人に達しているのです。

 これでは何のための予防ワクチンなのか、懐疑的にならざるを得ません。期待が高まるACAM2000ワクチンの場合も、3,000人を対象にした治験では175人に1人の割合で心筋梗塞という深刻な副反応が見られました。サル痘ワクチンについても同じ轍を踏まないことが望まれます。

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 さらにいえば、外国製のワクチンに依存するのではなく、日本由来の発酵食品や地域の人々や自然との触れ合いを生かした健康増進を心がけ、日本独自の感染症予防に取り組む時ではないでしょうか。日本政府はコロナ対策と称して「8,000万人への接種」を目標としていますが、免疫力を高める方策をもっと自然なかたちで実行することが大切だと思われます。

(了)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

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