2024年05月17日( 金 )

大学のまち・福岡 主要5大学エリアレポート(3)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

【福岡大学】
専用物件も多数

 福大の最寄り駅は福大前駅になるが、同駅周辺は文字通り福大のキャンパスしかなく、居住エリアとしては隣駅の七隈駅が起点となっている。福大生の居住エリアとして人気なのは、七隈駅周辺の七隈エリアのほか、福大通りの北側に位置する松山エリア、そして福大の東側、福大通りの南側に位置する片江エリアの3つだ。

 七隈エリアおよび松山エリアでは、大通り沿いにマンションが多く、通りから入ればアパートも多数存在。ワンルームや1Kタイプの間取りが多く、家賃は4万円~5.5万円くらいの物件が多いが、なかには3万円台や2万円を切る物件も。また、七隈エリアと松山エリアでは、七隈エリアのほうが高い家賃帯となっている印象だ。女子学生向けに、オートロック標準装備の物件の人気も高い。エリア内に七隈駅があることで、大学以外への交通アクセスにも優れ、駅周辺には飲食店も多いが、エリア内にスーパーがなく、買い物利便性はやや低い。片江エリアは駅から少し離れる分、やや家賃帯が下がり、4万円前後から3万円台の物件が多い。一方で、スーパーをはじめとした買い物施設が福大通り沿いに並んでいることもあり、買い物利便性は高い。

七隈駅周辺が人気
七隈駅周辺が人気
福大通り沿いにも学生向け物件多数
福大通り沿いにも学生向け物件多数

 福大周辺の賃貸物件の特徴の1つとして、「福大生専用」物件が多いことが挙げられる。これは文字通り福大に通う学生しか入居できず、卒業時には退去しなければならない物件だ。こうした福大生専用物件の存在が、毎年4,000人以上が入学してくる新入生の住居確保のために機能しているといえるだろう。なお、福大周辺の不動産会社7社では、94年に福大周辺賃貸協力会を結成。福大の学生課との定期会議なども行いながら、365日24時間セキュリティ対応の物件なども多数管理し、学生らが安心して学校生活を送れるよう努めている。

「福大生専用」物件が多く見られる
「福大生専用」物件が多く見られる

 今後、福大周辺にとって訪れる大きな変化は、来春に地下鉄七隈線が博多駅まで延伸開業することだ。

 「かつて七隈線が開業したときは、通学にも便利になったことで、とくに新入生からの賃貸ニーズが落ちたことがありました。とはいえ、これまで七隈線は天神での乗り換えに不便なこともあり、通学に利用する学生もそれほど多くはなかったのですが、今度は七隈線が博多駅までつながることで、より便利になり、福岡市内だけでなく市外からの通学も十分可能になります。となると、かつての開業時と同じか、それ以上の影響があるのではないかと、懸念しています」((有)高田住宅)。

 広大なキャンパスを擁し、多くの学生が在籍しているほか、周辺地域の中核的医療センターとしての福岡大学病院があることから、福大が地域における核となっていることは間違いない。地域の交通インフラも“福大ありき”で整備が進んできており、それが良くも悪くも不動産事情に影響を与えているようだ。

【坂田 憲治/代 源太朗】

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事