大学のまち・福岡 主要5大学エリアレポート(3)
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【西南学院大学】
多様性に富む文教地区西南学院大学(以下、西南大)は、1916年に米南部バプテスト連盟の宣教師C・K・ドージャー氏によって設立された、福岡市初の男子の私立中学校「私立西南学院」が始まり。当初は福岡市大名町(現・中央区赤坂)にあったが、19年には「中学西南学院」と改称し、早良郡西新町(現・福岡市早良区西新)の校地を取得して移転。その後、日米関係が緊迫化してキリスト教への圧力が強まるなかで苦難の時期が続いていたが、戦後の47年に新制中学として西南学院中学校が開設。48年の西南学院高等学校の開設を経て、49年に学芸学部(現・神学部、英文学部、商学部)を擁する西南学院大学として開設された。以降、経済学部や法学部など学部を増設し、現在は8学部(うち文学部は1年次募集停止)および大学院のほか、中高一貫教育の西南学院中学校・高等学校、西南学院小学校なども擁する私立のキリスト教主義学校として存在感を放っている。学生数は22年5月1日現在で、学部生8,216人、大学院生111人の計8,327人。
西南大が立地する西新は、公立高校“御三家”の頂点に立つ修猷館も擁する文教地区としてのほか、西新商店街に代表される商業集積地区、そして文教地区であることや利便性・住環境の良さから人気を集める住宅街としての顔も有している。幹線道路の明治通りの直下に福岡市地下鉄空港線が通って西新駅を有するほか、福岡高速道路(都市高)の百道出入口も近いなど交通アクセスにも優れ、福岡市都市計画マスタープランにおいては隣接する藤崎およびシーサイドももちと合わせて、福岡市西部の副都心「西部広域拠点」として位置づけられている。そのため、今回取り上げるなかでは、他と違って「大学のまち」だけではない、さまざまな要素を内包しているのが西新という街の特徴だ。
とはいえ、西南大で学ぶ約8,000人もの学生の存在は無視できるものでもなく、大学周辺をはじめとした西新の街中には、西南大の学生向けの物件を取り扱う不動産屋も多数存在する。
「大学生向けの物件としては、ワンルームや1K、1DKなどが主で、家賃帯は4~6万円くらいです。西新の街は文教地区として人気が高く、ファミリー層からのニーズのほか、その優れた利便性から単身者のニーズも高いです。そのため、西新駅の周辺はやや家賃が高く、学生たちにとっては隣駅の唐人町や藤崎周辺の今川や鳥飼、高取エリアが人気です。また、百道エリアになると高級住宅街になっていきますので、学生向けの物件は地下鉄線路より南側に立地している印象です」((株)PLA NET・桑鶴匡一係長)。
西南大は、多様な側面をもつ西新という街を構成する一要素でしかなく、お膝元の西新が「西南大のまち」とはいえないのは先に述べた通りだ。だが、修猷館と並んで、西新を文教地区へと押し上げているのは、紛れもなく西南大の存在であり、現在の西新の発展の礎として、同大がはたしている役割は大きい。また、西南大および関連学校があることで、西新の街に毎年新たな若者が流入するなど、街の賑わい創出および活性化にも寄与している。今後も文教地区を形成する一角として、西南大は西新の地でたしかな存在感を示していくだろう。
【坂田 憲治/代 源太朗】
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