2024年06月16日( 日 )

22年度地価調査でも福岡が躍進した3つの要因(後)

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東区は千早が堅調、「多の津」にも注目

 また、今回目立ったのは準工業地域の「多の津2-6-2」(15.0%)、「多の津1-7-2」(10.2%)だろう。多の津にある「福岡流通センター」は、建物の老朽化などの課題を抱えていることから、新しいまちづくり構想の策定に着手(詳細は本誌vol.50/7月末発刊)しており、将来的な再開発への期待も高まっているエリアだ。福岡ICにも近く、近年、需要が高まっている物流施設の立地としても申し分ない。2年連続の2ケタ増となった「那の津4-8-11」(13.6%)は、臨港地区にある規制の多いエリアだが、天神の中心部から目と鼻の先にあることなどから、地価上昇は天神の拡張の影響も受けたものとみられる。

 東区では、千早エリアの地価上昇が進んでおり、千早駅北側の「千早5-4-25」(11.3%)、今年の地価公示で大きく上昇した「名島3-2-16」(12.9%)が、地価調査でも大幅な伸びとなった。また、低層の住宅街である「千早1-5-22」(10.3%)も前年(9.7%)を超える上昇率となった。近隣では、九州電力のグループ会社で、主に同社の有休資産を活用した不動産開発を手がける九電不動産(株)がマンション開発を予定。10月初旬時点で既存建物の解体工事が進められている。

1.7haの敷地で再開発、公募提案目前「こども病院跡」

 冒頭で述べた通り、「天神・博多の拡張」「地下鉄七隈線の博多駅延伸効果」「ららぽーと開業効果」を主要因に福岡市内の地価は上昇を続けており、10%以上の上昇となった地点では、千早周辺や多の津などの例外はあるものの、概ね3つの要因で上昇したといっても過言ではないだろう。また、「唐人町2-3-57」(11.1%)も前年(6.6%)から大きく伸びたが、これは7月から事業者公募が始まった「こども病院跡地」の再開発を期待したものだと見られる。

 公募の対象は、地下鉄・唐人町駅の北側にある1.7haのこども病院跡地一帯。所有者は福岡市立病院機構で、最低土地価格は約54.5億円。優先交渉権者の決定は23年1月の予定だが、地場のデベロッパーからはすでにあきらめの声が挙がる。「医療福祉施設、健康づくりに資する施設、教育施設、子ども・子育て支援に関する施設、交流施設・空間のうち、いずれか1つ以上を導入すること、住宅を提案する場合は事業対象地全体の住宅戸数を合計250 戸以下とすること」といった公募のハードルの高さによるもののようだ。

 福岡の建設・不動産業界は、福岡市の再開発に深く関わってきた大手デベロッパーと市内の大学系列の病院が再開発を手がけるとみている。大規模な再開発にはたしかにノウハウも重要だ。この大手デベロッパーは全国で実績があり、福岡にも縁が深く、天神エリアでは現在も複数の再開発プロジェクトを進行させているが、「またあそこか」という声も漏れ聞こえてくる。参加資格審査申請はすでに受付を終了しており、12月2日までに提案書類が提出される見通し。敷地は唐人町駅からは最大でも6分程度、大濠公園と百道浜に挟まれ、東側には再整備が計画されている西公園を擁する。環境に優れた広大な敷地の再開発となるだけに、どのような提案がなされるのか注目しておきたい。

【永上 隼人】

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