2024年04月28日( 日 )

福岡周縁部のマンション開発状況(5)

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 福岡市の中心部では、市が主導する再開発プロジェクト「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」が進んでいる。これら2つの再開発プロジェクトを契機として、天神・博多をはじめとした中央区と博多区の両エリアでは、規模の大小を問わず多様な開発計画が進行。官製需要が民間投資を誘発することで、バブルに近い開発熱が生まれている。

 その一方で、そうした中心部では開発用地の争奪戦も過熱。地場だけでなく、中央大手のデベロッパーも続々と参戦し、マンションデベロッパー各社にとっては、新たなマンション開発用地の獲得に四苦八苦する状況が続いている。そのため、土地争奪戦の舞台は次第に市の中心部から市の郊外部、さらには近隣の自治体へとシフト。いわゆる“周縁部エリア”でのマンション開発が以前にも増して盛んになってきている。

 今回、福岡都市圏の周縁部を東・南・西の3つのエリアに分けたうえで、各区・自治体ごとに開発状況を見ていこう。

大野城市
高架化駅周辺で開発活況

 22年に市制施行50周年を迎えた大野城市は、古くから博多と太宰府とを結ぶ交通の要衝として栄え、現在も九州自動車道や福岡都市高速道路、国道3号などの主要道路のほか、JR鹿児島本線と西鉄天神大牟田線が通るなど、交通利便性が非常に高いことが特徴の市だ。隣接する春日市と同じく福岡都市圏におけるベッドタウンとして発展してきたほか、北東部や南部には豊かな山林が広がるなど、都市部と自然との両方の良さを兼ね備えている。

 大野城市内でも、前述の西鉄天神大牟田線連続立体交差事業によって白木原駅と下大利駅の2つの駅が高架化。現在、この2つの駅の周辺を中心として、旺盛な開発が相次いでいる。

マークネクスト下大利

 西鉄下大利駅の近くの下大利1丁目では、西日本鉄道(株)と三菱地所レジデンス(株)の共同で「マークネクスト下大利」の開発が進んでいる。西日本鉄道と三菱地所レジデンスの新マンションブランド「マークネクスト」を冠したマンションで、同ブランドとしては3物件目。RC造・地上14階建、全96戸で、施工は(株)森本組 九州支店が担当。24年1月下旬の竣工を予定している。

 同じく下大利1丁目では、先行してJR九州とエース工業(株)による「MJRザ・ガーデン下大利」の開発も行われ、現在完売間近となっている。RC 造・地上14階建、延床面積3万2,488.35m2の全303戸。設計・監理は(株)フレームワークス、施工はMJRザ・ガーデン下大利建設工事共同企業体(松尾建設(株)・九鉄工業・エース建設)が担当し、建物は22年1月に竣工済み。マンションの隣接地にはスーパーマーケット「マックスバリュ下大利店」のほか、住宅型有料老人ホーム「SJR下大利」(RC造・地上12階建、全126室、22年5月開業)も備える住・商複合開発が特徴となっている。

 大野城市内では、大英産業も2つのマンション開発を進めている。1つ目の「サンパーク白木原レジデンス」は、高架化した西鉄白木原駅から徒歩3分、JR大野城駅からは徒歩6分の距離にある白木原1丁目で開発されたもの。RC造・地上15階建、延床面積3,612.99m2の全42戸で、施工は日本国土開発(株)が担当。22年10月に竣工済みで、現在は最終分譲中となっている。

 もう1つの「サンパーク大野城グラッセ」は、白木原駅から徒歩9分の距離にある東大利4丁目で開発が進められている。RC造・地上12階建、延床面積7,576.73m2の全88戸。施工は中村建設が担当し、23年6月上旬の竣工を予定している。

MJRザ・ガーデン下大利/サンパーク白木原レジデンス/サンパーク大野城グラッセ

 春日市との市境に近い錦町2丁目の、西鉄春日原駅から徒歩4分の立地では、サンヨーホームズ(株)による「サンメゾン春日原」の販売が進んでいる。RC造・地上15階建、延床面積9,873.37m2の全112戸。設計・監理は(株)K・Tプランニング、施工は鉄建建設(株)九州支店が担当し、22年2月に竣工済み。

 ほかに鉄道沿線からは距離があるものの、幹線道路の福岡筑紫野線(県道31号)に近い旭ケ丘1丁目では、(株)ファミリーによる「ファーネスト大野城ルアナガーデン」の開発が進んでいる。RC造・地上5階・地下1階建、延床面積3,354.38m2の全40戸。設計・監理はK・Tプランニング、施工は(株)旭工務店が担当し、23年10月上旬の竣工を予定している。

サンメゾン春日原/ファーネスト大野城ルアナガーデン

(つづく)

【坂田 憲治/代 源太朗】

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