2024年05月11日( 土 )

広域交通の要衝・古賀市で進む6つの開発(後)

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(4)新原高木地区

新原高木地区
新原高木地区

 新原高木地区は、筑紫野古賀線の古賀インター入口交差点の北東に位置する27.9haのエリア。市内でも古賀ICまでの距離が最も近い場所であり、その利便性を生かして運送業・倉庫・卸売業等の立地に適していると目されている。

 なお、同地区はこれまで前出の①今在家地区と並んで次期開発用地として名前が挙がっていたにもかかわらず、なかなか地元の機運が高まらずに開発に向けた動きが低調だった背景がある。それが、近年の市内の開発需要を受けるかたちで、県と市との調整を図りながら、ようやく水面下での動きが進行。農村産業法(農村地域への産業の導入の促進などに関する法律)などを活用するかたちでの開発が進もうとしている。今年前半には都市計画決定に向けた手続きが公告などで示され、諸々の手続きを経たうえで、早ければ24年度にも工事着手に漕ぎ着けたい考えだ。

 エリア内はまとまった規模の区画に区分し、運輸系や製造系の機能を誘致するほか、筑紫野古賀線に面した箇所では商業系の店舗等の誘致が行われることも十分考えられる。

(5)青柳迎田地区

青柳迎田地区
青柳迎田地区

 青柳迎田地区は、前出の今在家地区から谷山川を挟んで南側の対岸に位置するエリア。開発に向けての線引きなどが終わっていないため、具体的な計画地の面積は未定となっている。北側に隣接する今在家地区と同様に、西側には古賀工業団地が広がっているため、基本的には現工業団地を拡充させる方向で、工業系の用途を念頭に置いて開発を進めていく方針。25年度末までの都市計画決定を目指している。

(6)新久保南地区

新久保南地区
新久保南地区

 これまで紹介した5地区は主に産業力の強化に資する開発だったのに対し、新久保南地区は居住機能の強化に資する開発を目指している。場所は国道3号と筑紫野古賀線とに挟まれ、北を大根川、南を都市計画道路・花見栗原線で挟まれたエリア一帯で、国道3号沿いの場所には古賀中学校が立地している。開発を進めるにあたっては土地区画整理事業を想定しているが、青柳迎田地区と同様に、開発に向けての線引きなどが終わっていないため具体的な計画地の面積は未定。25年度末までの都市計画決定を目指している。

居住機能の強化に向けた開発が検討される「新久保南地区」
居住機能の強化に向けた開発が検討される
「新久保南地区」

    同地区は、JR古賀駅までは概ね徒歩15分の距離にあるほか、国道3号を通じてバスでの福岡・天神方面への通勤にも便利な立地となっている。エリア内には前出の古賀中学校のほか古賀市保健福祉総合センター「サンコスモ古賀」があり、北側に約300mの場所には古賀東小学校もある。主に子育て世代を含めた若年層を取り込んでいきたい考えで、戸建住宅のほか、住民の世代交代や新陳代謝が見込める賃貸マンションなどの開発も検討の俎上に載せている。また、主に国道3号や筑紫野古賀線などのロードサイドにおいては、食品スーパーやドラッグストアなどの生活利便施設などの誘導も考えられるだろう。

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 22年4月にスタートし、32年3月までの10年間のまちづくりの指針となる「第5次古賀市総合計画」では、4つの基本目標の1つとして「産業が暮らしを支え 地域をつなぎ すべての人が豊かさとにぎわいを感じられるまち」を挙げている。豊かな自然や優れた交通利便性を生かして、産業が地域経済を支えてまちに活力を生み出すとともに、人々の交流が新たな魅力を創出して活気と賑わいにあふれるまちを目指すというものだが、そのために進めているのが、今回紹介した新たな6地区での開発による産業用地の確保および居住機能の強化。古賀市ではほかに、中心市街地であるJR古賀駅周辺での再開発なども具体的に動き出していく計画だ。 

(了)

【坂田 憲治】

 古賀市は現在、市内各地での同時多発的な開発を進めているかなり稀有な自治体になっています。というのも、都市計画の手続きには非常に時間がかかるのと、人口減少社会に突入している現在では、タイミングを逃してしまったら、もうチャンスが失われると思っています。もう今やらないと駄目だということで、継続的・断続的な開発を推し進めています。

    企業誘致の産業振興策を図っていくことで、移住・定住・居住というところにつなげ、まちを持続可能なものにしていくこと。こうしたことをしっかりと今やらないと、未来への責任が果たせないという思いで、これからもさまざまな取り組みを加速させていきます。

古賀市長 田辺 一城 氏

(前)

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