2024年05月07日( 火 )

ついに博多駅まで延伸開業 地下鉄七隈線のこれまでとこれから(前)

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ついに七隈線が博多駅まで延伸開業した
ついに七隈線が博多駅まで延伸開業した

七隈線が博多駅に接続

 3月27日、ついに福岡市地下鉄七隈線が博多までの延伸開業を迎えた。延伸区間は天神南駅~博多駅の約1.4km(営業キロ約1.6km)。天神南駅から国体道路の下を走り、博多川をわたった祇園町西交差点付近からはかた駅前通りの下を走るかたちで博多駅まで接続するルートで、ほぼ中間地点に位置する博多区祇園町では新たに「櫛田神社前駅」も開業した。

七隈線・櫛田神社前駅
七隈線・櫛田神社前駅

    櫛田神社前駅は、その名が示すように“博多の総鎮守”として信仰を集め、市民からは“お櫛田さん”の愛称で広く親しまれている「櫛田神社」に近接する駅であり、近くには複合商業施設「キャナルシティ博多」もある。駅は、地下1階部分に改札を設け、地上から深さ約25mの地下4階部分にホームを設置。南北に長い特性を踏まえて、中洲川端方面および博多駅方面の両方向への利便性や回遊性の向上を図るため、改札口を中央部だけでなく、駅の両端にも配置している。

櫛田神社の参道をイメージした装飾(櫛田神社前駅)
櫛田神社の参道をイメージした装飾(櫛田神社前駅)
博多祇園山笠の壁面装飾(櫛田神社前駅)
博多祇園山笠の壁面装飾(櫛田神社前駅)

    また、改札フロアやホームの床には櫛田神社の石畳参道をイメージした床タイルを採用するほか、地下1階コンコースには縦約2.4m×横約4.5mの迫力ある博多祇園山笠の壁面装飾や、博多の伝統工芸品の展示を行うなど、櫛田神社をはじめとした歴史ある街の雰囲気や、木のぬくもりを感じられる駅空間としている。

博多の伝統工芸品の展示が行われている(櫛田神社前駅)
博多の伝統工芸品の展示が行われている
(櫛田神社前駅)

    さらに、カーボンニュートラルの実現に向けた最新の再エネ・省エネ設備を導入するほか、ユニバーサルデザイン都市・福岡を象徴する駅となるようなサインの工夫など、利用客にとってわかりやすく、使い勝手の良いレイアウトを意識したさまざまな取り組みが行われている。駅のシンボルマークは、櫛田神社の「銀杏(ぎなん)の葉と、博多祇園山笠の「舁き縄」を組み合わせ、力強く駆けているようなデザインとなっており、空港線・箱崎線の計19駅のシンボルマークを手がけたグラフィックデザイナーの故西島伊三雄氏の長男で、自身も既存の七隈線16駅のシンボルマークを担当した西島雅幸氏((株)アトリエ童画・代表取締役社長)が手がけた。

空港線の乗り場は地下3階、七隈線の乗り場は地下5階となる(博多駅)
空港線の乗り場は地下3階、
七隈線の乗り場は地下5階となる(博多駅)
空港線ホームから七隈線への乗り換え入口(博多駅)
空港線ホームから七隈線への乗り換え入口
(博多駅)

    延伸区間の終点にあたる博多駅でも、新たに七隈線用の駅施設が開業した。七隈線・博多駅は、空港線・博多駅よりさらに深い地下4階・5階部分に設置され、ちょうどはかた駅前通りと市道博多駅前線と交差する部分に位置する。空港線までの乗り換え距離はそれぞれのホームからホームで約150m、JR線との乗り換え距離はそれぞれの改札口から改札口で約180mとなっており、乗り換え通路には動く歩道も設置。七隈線と空港線は改札を通らずに約3分での乗り換えが可能となっている。

 また、空港線への乗り換え利用者だけでなく、博多駅周辺を目的とする利用者の割合が多いと見ており、七隈線ホームからコンコースの間のエスカレーターや階段、エレベーターなどの昇降設備を充実させ、ホームの混雑緩和や利便性向上を図っている。

地下5階部分のホームまでは昇降設備が多く設けられている(博多駅)
地下5階部分のホームまでは
昇降設備が多く設けられている(博多駅)

    今回の延伸により、七隈線各駅から博多駅までの移動時間は約14分間短縮された。また、空港線・箱崎線と七隈線の乗換駅は、これまでの「天神駅・天神南駅」から「博多駅」へと変更。一部区間(空港線から七隈線、箱崎線から七隈線)では乗車距離が変わることで、乗車料金が変更となるほか、これまでは七隈線と空港線の結節点がなかったことから特例として実施されてきた120分以内での「天神駅-天神南駅間の改札外乗継制度」は廃止となった。

七隈線と空港線の乗り換え通路(博多駅)
七隈線と空港線の乗り換え通路(博多駅)

 なお、七隈線の延伸開業に先駆けて、2022年2月9日より、新車両「3000A系」もすでに運行を開始している。3000A系は、車両外観に従来のグリーンのラインに加え、スカイブルーを採用。延伸によって七隈線が「空の玄関口」である福岡空港につながるイメージと、「希望の未来を示す、広く済んだ青空」のイメージが表現されている。また、スムーズな乗降と車両内での流動性向上を図るために出入口付近のスペースが拡大されているほか、シートや吊手、液晶式社内案内表示機などにユニバーサルデザインを導入。さらに、車両内の手すりや座席に抗菌・抗ウイルス素材を使用するなど、感染症対策も強化されている。3000A系は4編成が増備され、従前からの車両17編成と併用して運行がなされている。

地下鉄の路線図も新たなものに
地下鉄の路線図も新たなものに

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 開業から18年を経て、七隈線がついに博多駅まで接続した。I・Bまちづくりvol.38(21年7月末発刊)でも取り上げたが、今一度、福岡市地下鉄七隈線のこれまでについて振り返ってみよう。

(つづく)

【坂田 憲治】

(後)

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