2024年05月23日( 木 )

消費税課税をめぐる「ADW事件」の顛末(前)

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一審ではADW勝訴も

岡本弁護士
岡本弁護士

    (株)ADワークスグループ(東証プライム)の子会社・(株)エー・ディー・ワークス(以下、ADW)が、消費税の課税をめぐる訴訟を提起していたものの、最高裁で上告を棄却されたとの情報開示がされました。

 ADWは、不動産の売買等を目的とする会社です。同社は2003年から不動産投資事業に本格参入しており、賃料収益を上げることができる中古の賃貸用マンションなどを仕入れて、その資産価値および収益力を向上させるバリューアップを行ったうえで、当該不動産を富裕層の個人投資家等に転売するという事業を行っていました。ADWは15~17年において、中古の賃貸用マンション合計84棟を購入しました(以下、本件仕入)。なお、本件仕入対象のマンションは、その一部または全部が住宅として貸し付けられており、ADWはマンションの購入によって、その賃貸人の地位を承継し、各マンションを転売するまでの間、その賃料を収受していました。

 このような事実関係のもとで、ADWは消費税について個別対応方式で控除対象仕入額を計算することを選択したうえで、本件仕入は建物の販売(課税取引)を目的とするものであるとして、本件仕入に係る消費税の全額を課税標準額に対する消費税から控除する申告を行いました。

 これに対し、東京国税局は、本件課税仕入れの用途区分について、建物の販売(課税取引)のみならず、住宅の貸付け(非課税取引)も目的としたものであるから、共通対応課税仕入れに区分すべきであって、課税標準額に対する消費税から控除することができるのは課税売上割合を乗じた金額にとどまるとして、更正処分(3年合計2億1,800万円強)と過少申告加算税7,000万円強の賦課決定処分を行いました。

 ADWはこの処分を不服として、これを取り消す訴訟を東京地方裁判所に提起。東京地裁では勝訴したものの、東京高裁では逆転敗訴し、今回最高裁でも上告を棄却され、敗訴が確定しました。これが、今回の「ADW事件」の概要です。

 

(つづく)


<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所

所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/


<プロフィール>
岡本  成史
(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。

(後)

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