2024年05月11日( 土 )

糸島から全国へ、純国産メンマを展開

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(株)タケマン
代表取締役社長 吉野 優子 氏

代表取締役社長 吉野優子氏

 設立以来、一途に純国産メンマの製造・販売に取り組んできた(株)タケマン。同社は現在、ラーメン店を中心に、約1,500店舗との取引実績を有する。同社代表取締役社長・吉野優子氏に、社長就任の経緯や今後の方針についての話を聞いた。

コロナ禍で変化した事業環境

 ──代表取締役社長に就任した経緯をお聞かせください。

 吉野 当社ではお声がけいただいてから商談へ、という流れが基本でしたが、やはりコロナ禍の影響は避けられず、前社長(現会長・吉野秋彦氏)を筆頭に、より積極的な営業活動が必要になりました。ただ、外部に働きかける営業活動と、内部統制を行う社長業との両立は難しく、専務だった私が社長に、会長は営業活動に専念するという役割分担を2022年1月から行いました。

 経営には設立当初から会長とともに携わってきましたが、代表として組織のトップに立つようになったことで、これまで以上にプレッシャーや責任の重さを感じています。一方で、当社のもつポテンシャルには誰よりも気付いていますので、会社の将来像など、さまざまな可能性を思い浮かべることで、日々夢も広がっています。

 ──豊富な商品展開が印象的です。

 吉野 当社では現在、約30種類の業務用メンマ、約10種類の一般消費者向け商品を取りそろえています。業務用ではとくに「熟成メンマ」と「味付けメンマ」が人気です。熟成メンマは、お店に到着した段階ではまだ味付けなどがされておらず、ラーメンの特徴に合わせた使い方をお店側で自由にカスタマイズ可能で、こだわりを出せるとして人気の高い商品です。味付けメンマは、商品が届いた時点ですぐに使うことができるため、仕込みの手間を省けると人気です。お店によって異なるニーズに柔軟に対応できることが、当社の強みになっています。

 商品開発には力を入れており、以前、博多女子高等学校の学生の皆さんとお菓子感覚で食べられる「博多BARIMEN(バリメン)」を開発しました。「メンマといえばラーメン」というイメージがありますが、新たな食べ方提案を継続的に行うことで、メンマの可能性を広げていきたいと考えています。

タケマンの多彩な商品
タケマンの多彩な商品

メンマを通じた社会貢献

 ──九州経済産業局より、DXに取り組む企業事例として紹介されました。

 吉野 これまではお客さまからいただいた注文内容を手打ちで入力・管理していましたが、受注業務ソフトを導入し、DX化しました。慣れていた形式からデジタルへの移行に抵抗を感じることもありましたが、注文データを一括で集計できるので、最新のトレンドや地域ごとの趣味嗜好の把握など、マーケティングにも役立っており、作業の効率化だけでなく、蓄積したデータに付加価値をつけることもできました。

 ──理念の1つに、放置竹林の減少も掲げられています。

 吉野 体力勝負な部分がありますので、竹林整備を担う従事者の数は減少傾向にあります。地権者の高齢化や後継者問題に頭を抱えている方も多くいらっしゃいますし、事業活動の啓蒙にも時間がかかるため、人材確保は大きな課題です。

 当社では、技能実習生のようなかたちで、海外の方に竹林整備のお手伝いをしていただいています。おおよその整備面積を決定した後、当社の従業員に数名の外国人人材を加えて、一緒に整備・収穫を行っています。継続が鍵ですので、竹林整備とメンマづくりを通じて、今後も放置竹林の減少に取り組んでいきます。

 ──最後に、タケマンが目指す理想像についてお聞かせください。

 吉野 メンマを通して社会に貢献することが大きな目標です。たとえば、メンマ市場として未開拓の地域はたくさんあります。未開拓地でメンマ生産の土壌を整えることで、その土地の雇用創出につなげられると考えています。新しいことに挑戦したいという強い意志はあるけれど、ノウハウがないために挑戦できていないという地域や発展途上国との協業に取り組みたいですね。

 また、事業規模の拡大と同時に、取引先であるお店の方々との距離感を維持することも目標です。会社が大きくなるにつれて分業化が進むのは自然なことではありますが、各自の専門性が高まる反面、把握できていない領域が増えてしまう懸念もあります。お客さまに、「この人に聞けばすべて答えてくれる」という安心感をもっていただけるような社員を育成していきたいですね。

 私たちは、取引先の皆さまが一杯のラーメンに込める思いに寄り添えるような会社でありたいと考えていますので、「お客さまの成功が我々の成功」ということを念頭に、これからも邁進していきます。

【杉町 彩紗】


<プロフィール>
吉野 優子
(よしの・ゆうこ)
1981年9月、熊本県生まれ。専門学校卒業後は保育士を約8年間勤め、2013年9月に福岡市西区で(株)タケマンを会長とともに設立。22年1月より現職。趣味は読書、ラーメン食べ歩き。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉野 優子
所在地:福岡県糸島市加布里5-9-1
設 立:2013年9月
資本金:1,000万円
URL:https://mennma-takeman.jp

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