デザインで生み出す防犯効果 実践的指導と都市公園の賑わいづくり(4)
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福岡大学工学部社会デザイン工学科
景観まちづくり研究室 教授
柴田 久 氏2014年「グッドデザイン賞」、15年「第26回福岡市都市景観賞」大賞を受賞した福岡を代表する都市公園「警固公園」。この素晴らしいデザインをかたちにしたのが、福岡大学工学部教授の柴田久氏。そして、当時の教え子たちだ。単なる学び舎としてではなく、実践的な技術研鑽の場として活動を続ける同研究室にて、話を聞いた。
――こうしたかたちで評価も受けると、後進の学生にとっても励みになるかと思います。そうしたなかで、これからの学生に期待することや、進路として向かうであろう業界に対して思うことなどありますでしょうか。
柴田 防波堤、遊歩道の設計など、私はさまざまなデザインを手がけています。ですので、学生たちにもいろんなことに興味を持って、『これをやりたい!』と活発的に声を上げてもらえるようになってほしいですね。警固公園のデザイン後、公園の設計プロジェクトをやりたいという学生が増えましたが、新鳥栖駅前の朝日山に遊歩道をつくるプロジェクトであったり、廃校になった小学校の再活用プランの話も進めています。公園に限らず、新しいデザインが求められている場所はほかにもたくさんあるんだということを知ってもらい、そのうえでみんなに喜んでもらえるような空間デザインに励んでもらいたいです。
あと、警固公園の仕事もそうですが、いつも私が痛感しているのは、デザイン能力はもちろんですが、調整能力というのがいかに重要なのかということです。年単位のプロジェクトだと、関係各所の引き継ぎ状況などによっては、担当が変わるたびに毎回調整といった感じでした。ですので学生には、ぜひともコミュニケーション能力も高めていってほしいですね。
業界のことで言いますと、私は建築家ではなく、公共空間のデザインを専門にやっている者ですが、建築は設計者の人物像、その人の『顔』が見えやすい傾向がある一方、私たちのような公共空間のつくり手は顔が見えにくい傾向があります。警固公園でもそうですが、公共空間というのは皆の力が合わさってできるものですから、誰か特定の名前というより、どうしても企業名や団体名になってしまう。そうすると、なかなか学生にエンジニアやデザイナーの人物像が伝わらず、将来の仕事や憧れの対象としてなかなか見てもらえない。ですので、もっと顔が見えるようにしていけば、業界ももっと活性化するのではないかと思います。現在、学会でもプロジェクトを評価する際、個人名などをもっと前に出していこうという流れに変わってきていますし、もし、そこで女性の名前が挙がれば、優秀な女性の人材だって「私も!」と足を向けやすくなると思います。――同研究室から今後どんな人材が輩出され、どんな都市空間をデザインしていくのか、非常に楽しみです。本日はお忙しいなか、貴重なお話ありがとうございました。
(了)
【代 源太朗】<INFORMATION>
■福岡大学
所在地:福岡市城南区七隈8-19-1
創 立:1934年
TEL:092-871-6631
URL:http://www.fukuoka-u.ac.jp■景観まちづくり研究室
所在地:福岡大学キャンパス内 5号館別館3F
TEL:092-871-6631<PROFILE>
柴田 久(しばた・ひさし)
1970年、福岡県出身。東京工業大学大学院 情報環境学専攻博士課程修了。景観工学、都市計画学を専門とし、景観デザイン論、まちづくり演習等の講義を担当。土木学会、都市計画学会、建築学会等に所属。2014年に『グッドデザイン賞』、15年に『土木学会デザイン賞最優秀賞』『第26回福岡市都市景観賞大賞』を受賞するなど、数々の受賞歴を持つ。関連記事
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