2024年06月24日( 月 )

「不動産ID確認システム」試作版を今秋提供へ

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「不動産ID官民連携協議会」初会合の様子
「不動産ID官民連携協議会」初会合の様子

大手デベ・ゼネコンが参画

 建築・不動産業界のデジタル化の一環として、国土交通省が整備を進めているのが、「不動産ID」だ。現在、住宅表示の表記ゆれや同一住所上に複数の物件が存在することで、物件情報の照合やデータ連携が困難という課題がある。不動産IDとは、登記簿の不動産番号をベースとしたIDを振ることで、土地や建物の特定を容易にするというもの。具体的には、「不動産登記簿の不動産番号(13ケタ)‐特定コード(4ケタ)」の17ケタの番号で構成する。国交省は2022年3月に、「不動産IDルールガイドライン」を策定済みだ。

不動産IDの狙い
出典:国土交通省

 国土交通省と内閣府などは5月30日、不動産に共通番号を割り振る不動産IDの実証事業を展開する「不動産ID官民連携協議会」を発足し、都内で初会合を開催した。年内には、440の地方自治体で所在情報から不動産IDを確認できる「不動産ID確認システム」の実証が開始される。国交省らは25年度から全自治体分のデータを提供できるよう、デジタル庁・法務省などと連携して準備を進め、28年度以降の本格普及を目指すという。

 不動産ID官民連携協議会の組織は、業界団体、民間企業、地方自治体など251者に加え、その他有識者や関係省庁で構成される。民間企業には三井不動産(株)、三菱地所(株)、住友不動産(株)、東急不動産ホールディングス(株)、野村不動産(株)、東京建物(株)、森ビル(株)など主要デベロッパーが名を連ねている。

 建設・設計関係の団体からは、住宅生産団体連合会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、建築設備技術者協会、日本設備設計事務所協会連合会、ゼネコンからは、大成建設(株)、清水建設(株)、(株)竹中工務店、(株)安藤・間(安藤ハザマ)、飛島建設(株)、設計事務所からは(株)日本設計、(株)安井建築設計事務所などが参画している。

不動産IDの基本ルール  出典:国土交通省
不動産IDの基本ルール
出典:国土交通省

情報連携でイノベーションを

 国土交通省不動産・建設経済局の長橋和久局長は会の冒頭、「不動産IDを介したデータ連携を通じて、不動産、建設、宅配、保険、金融、防犯、防災、まちづくりなど幅広い分野のイノベーションを期待している。しかし、この分野での取り組みは緒についたばかりで、解決すべき課題は山積している。各社の実務ですぐに役に立つ状況ではないが、1つひとつ前に進めていきたい」と挨拶した。

 続いて同省住宅局の塩見英之局長は、「建築BIMの推進により、順次整備していくデジタルデータを不動産IDのほか、さまざまな情報と連携を進めることで、活用も可能になる。不動産IDを接点として物流、防災、観光と情報連携を推進し、新たな情報サービスの実現に寄与したい」と語った。

 国土交通省はデジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成に向け、不動産IDとBIMやPLATEAU()を一体的に推進し、今年度から一部エリアで先行的に高精微なデジタルツインを構築し、多様なユースケースを開発していく。25年度には不動産IDを介したPLATEAU・BIMと官民データ連携により、まちづくり・防災・グリーン・カーボンニュートラルなどのユースケースの社会実装に着手する。

 同時に、BIMによる建築確認を開始し、全検査機関でオンライン手続きの本格運用をスタートさせる。「維持管理BIM」のルールも整備し、情報管理の仕組みを確立することで、PLATEAUとも連携するシステムとする。さらに、27年度末までに500都市を目標に整備を進め、建物ごとに不動産IDを付与することを目指していく。

(※)国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト ^

試作版は今秋提供へ

 国交省らは、不動産IDによるデータ連携や蓄積が進むことで、「都市開発・まちづくりのさらなる進化」「新サービス・新産業の創出」「地域政策の高度化」など、不動産の高付加価値化やイノベーションの進展を期待する。

 「今回の協議会では大変多くの方からの参画を得ることができ、不動産IDに取り組む大変心強い大きな塊ができたと考えています」(国交省)としており、建築・都市のDXの推進とともに、官民の関係者による協力を通じて、不動産IDを介したデータ連携を促進させ、幅広い分野での成長や課題解決に努めるという。

 まずは、ユースケースの創出やパイロット事業の展開、次に不動産ID推進の環境整備を行っていく方針。不動産IDのルールについては、実勢に合わせて補完や修正も検討されるという。同協議会を会員間のプラットフォームとし、関係政策の動向、産業動向の共有、ビジネスマッチング、関係団体との連携も積極的に進めていくようだ。
 なお、「不動産ID確認システム」は今秋、全国440地方自治体分の登記データを基に、協議会会員向けに試作版の提供が開始される。

建築・都市・不動産の情報連携・蓄積・活用する社会を早期に構築へ  出典:国土交通省
建築・都市・不動産の情報連携・蓄積・活用する社会を早期に構築へ
出典:国土交通省

試作版のデータ提供エリア(福岡県内)
北九州市(一部)、八女市、中間市、小郡市、春日市、宮若市、朝倉市、糸島市、那珂川市、宇美町、新宮町、桂川町、大木町、広川町、香春町、苅田町、東峰村

【長井 雄一朗】

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