2024年04月30日( 火 )

音楽から考える縄文道基本認識

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(一社)縄文道研究所

 NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
 今回は第100号の記事を紹介する。

音楽から考える縄文道基本認識

縄文式土器 イメージ    現在のウクライナ戦争、米中対立、環境問題、AIロボットの急激な発達の中で、人類は未曽有な生存の危機状態にあるといえる。

 人類に平安と幸せと安心感を与える、人類共通のコミュニケーションは音による音楽と思う。音楽は慰みと幸せのメッセージを伝えてきたという認識は、人類の普遍的な共通認識と思う。

 縄文文化には岩刻文字(ペトログリフ)が日本中に約850個所で発見されているが、基本的には音声文字を通じて縄文人はコミュニケーションをはかってきた。

 代表は現在世界的にも研究が進められている約4,500語もあるオノマトペである。日常の会話でもピチャピチャ、カチャカチャ、ガタガタ、ゴトゴト、シトシトと、直ぐに音を連想させるオノマトペが使用されている。

 縄文人は石笛、鹿笛、竹笛などを使用したり、縄文太鼓があるように太鼓も使用して、自然音を音声、笛、太鼓などを通じて表現していたと思われる。笛はピーピー、鈴はリンリン、太鼓はドンドンと音から連想される。

 筆者の縄文太鼓の師匠である茂呂剛伸氏は、もともと和太鼓の奏者であったが、アフリカのガーナにて、アフリカの太鼓ジャンベの研究と演奏術を現地で学び、縄文人の音楽を縄文太鼓で表現している演奏家だ。

 故三宅一生のパリコレクションにおける縄文衣服のセッションワンの前奏の縄文太鼓や、今回世界的トランペット奏者の日野皓正氏とトランペットと縄文太鼓の共演でCDも出す予定だ。また縄文文化に造詣の深い故坂本龍一氏の前で縄文太鼓の演奏を披露し、おほめの言葉をいただいたとのことである。

 茂呂氏の縄文太鼓は北海道の世界遺産になった縄文遺跡の土と蝦夷鹿の皮を使った太鼓を使用しての本格的演奏だ。

 日本中の祭りで和太鼓が鳴り響くが、すべて人間の心臓の鼓動と同じ2拍子で、成立しているとのこと。従って人間の心臓の鼓動に従って太鼓は徐々に躍動していく、自然の理にかなった音の伝達道具なのだ。

 坂本龍一氏は縄文文化に造詣の深かった芸術家で、坂本氏は文化人類学者、宗教学者の中沢新一氏との共著「縄文聖地巡礼」にて以下のメッセージを伝えている。

 2人が北海道、東北、信州、諏訪、若狭、敦賀、奈良、紀伊田辺、山口、鹿児島、西表島などを訪れて、対談をおこなった貴重な作品だ。

 結論は、日本列島には縄文文化という基層、底流が流れて自然との共生、共存の息吹が至るところで感じられるということである。

 音楽もアニミズムの表現で、自然と平和を笛と太鼓で、表現していたことが感じ取られる。とくに自然崇拝、祖先崇拝、言霊信仰の証が表現されている。

 最後に人間の文化形成のなかで、縄文文化はさまざまな観点から再定義する必要があると述べている。又縄文の旅は今後も必要なことであると触れている。

 最後に坂本氏は音楽家として次のようなメッセージを残している。

「ぼくがいま20歳ぐらいでプログラミングができたら、縄文というOSをつくりたいですね。縄文ぽいという音楽をやりたいというのはいわばアプリケーションやファイルであって、それよりも僕らの思考方法を決定しているOSを変更しないといけないと感じます。縄文という多層的、多様性に富んだOSを」
(青森への旅 2007年 9月17日~19日)

 以上のように世界的な芸術家は直観力と感性で次の次代を感じる能力を有していると思う。

 彼らの直観力に基づく先見性を縄文道の観点から基本認識と縄文賛歌の詩と合わせて以下のように纏めて、100号の記念としたい。

「縄文道」基本認識

前提認識:約30年前から解明された、新しい歴史解釈である。

 日本の文化の歴史観の根本修正(考古学、遺伝子学、文化人類学、歴史学の約30年間の急速な発達で解明された。狩猟、漁労、採集、栽培生活者が形成してきた生き方)である。

 日本文化史の源流、基層、屋台骨を形成してきた。

1.時間軸=原点回帰―世界最古で最長の文化である。
 16,500年前に青森県大平山元遺跡から縄文土器が発掘された。現在から回帰すると約14,000年間継続した。すなわち日本史を鳥瞰すると約6分の5が縄文時代で約2,500年が現代に続く弥生型、組織社会である。

2.価値観=温故知新―環境適応力、日本化力、復元力の源
 大和民族の基本的価値観が形成された。
 技術、芸術、武術、和の精神と美意識

3.宇宙観、自然観、宗教観=不易流行
 古神道、皇室制度、基本的生き方
 普遍性―自然との共生、平和思想、母性尊重、人間平等観 SDGの価値観と一致。

 2021年7月27日にユネスコの世界遺産に「北海道、北東北の縄文遺跡群」として17カ所の遺跡が登録された。縄文道と武士道を連続して捉え、確たるアイデンティティを世界へ発信する時代が到来と認識。

結論:
 縄文文化で形成された精神と価値観は現代世界の分断を融和、対立を協調、破壊を平和に導く人類への道標に成り得る、
 2023年5月14~20日の国際シンポジウムで確認された。世界的考古学者アミール・フィンク博士(テルアビフ大学教授)、二シム・オトマズキン博士(エルサレム大学教授)などが三内丸山遺跡などを訪問した後、上記メッセージを宣言した。

縄文道の主義は以下3点に要約される:
 自然主義、平和主義、人間主義

縄文賛歌の詩

加藤 春一 作

逞しく 聳える  縄文火炎土器よ
遠い昔の縄文人  我らの祖先が
精魂を傾けた  芸術だ
永遠の美と平和の象徴よ

縄文土器は  我らに静かに語る
煮物、焼き物と多様な食が、この土器で
調理され続けてきたのだ、
まさに世界最古の シェフなのだ

朝もやの、 静けき朝に、そっと気品のある
姿に魅せられしわが心
輝ける縄文ビーナスよ
太陽の光を受けて 土偶は
平和を静かに語りかける

縄文土器と日本美の原点
紀元前約14,000年も古から、日本列島に息づいている
土と火と水の結晶―縄文土器よ
大和民族の偉大な知恵と美意識が生み出した最高の傑作だ。
きみは、野性味あふれ、力強く、
逞しさと同時に神秘性を帯び、輝ける芸術作品だ
威厳と凛々しさにあふれ、まさに日本美の原点に相応しく、
我が胸はその雄姿に踊る


Copyright by Jomondo Kenkyujo

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