2024年05月13日( 月 )

マッチングで建設業界の人手不足解消へ

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(株)助太刀 執行役員CCO社長室長 大塚 裕太 氏

(株)助太刀
執行役員CCO社長室長
大塚 裕太 氏

 「建設現場を魅力ある職場に。」をミッションに掲げる(株)助太刀は、建設現場での技能者と施工会社向けのマッチングアプリ「助太刀」と採用サービス「助太刀社員」を展開する。アプリユーザーは19万事業者超。最近は各種サービスの販売を担うパートナー企業の募集に注力し、九州地区も含め全国的に金融機関や異業種との連携を進めていくという。また、建設関連の大手企業とも協業し、協力会社の人材不足解消を図る方針も示した。助太刀の執行役員CCO社長室長・大塚裕太氏に、今後の戦略について話を聞いた。

助太刀のミッションは
「建設現場を魅力ある職場に。」

 ──助太刀を立ち上げた背景と現在の業務からお話しください。

 大塚 建設業界は500万人が従事する巨大市場です。 建設投資額は年々高まっているにもかかわらず、技能者の高齢化や若者の入職率の低下により、建設業界では恒常的な人手不足が深刻な課題となっています。そこで当社は「建設現場を魅力ある職場に。」をミッションに掲げ、建設業界を魅力的で入職したくなるような憧れの業界へ発展させるべく尽力しています。

 建設業界では、アナログで仕事や人材を探すことが多いようです。また、技能者の囲い込みの慣習により、元請を越えたつながりをもてていないと言われています。人手不足と言いつつも、技能者は閑散期に仕事がないケースもあります。つまり、今ある技能者のリソースは100%活用されていないということです。

 そこで当社は、技能者と施工会社のマッチングサービス「助太刀」を始めました。助太刀のサービス内容は、技能者と施工会社の取引先マッチングです。人手が不足している施工会社は、アプリ「助太刀」で技能者を集め、逆に閑散期の技能者は新たに仕事を開拓することが可能です。また、正社員を雇用する施工会社を対象に、業種に合った技能者を採用できる建設業特化の求人媒体「助太刀社員」も展開しています。

 ──強みとしては、どのような点がありますか。

 大塚 今やアプリユーザーは19万事業者を突破しています。登録事業者、技能者の登録数が助太刀の強みです。

 技能者の独立起業はハードルが高いものですが、スキルと経験がある技能者は、「助太刀」を使えば、自分で仕事を得ることが可能です。一人親方からスタートし、法人化する際には「助太刀社員」のサービスを活用し、正社員を集め会社の規模を大きくすることもできます。若くして活躍する親方が増えていけば、若者も建設業に魅力をもてるようになるはずです。

 たとえば、大阪で社員として働いていた技能者が東京で独立したケースでは、ツテがなくとも「助太刀」を活用することで安定した仕事を確保でき、軌道に乗った事例もあります。

 また、国交省が主導する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」とアプリが連携し、CCUS加入者(事業者・技能者)は申請を行えばアプリ上でCCUS加入者であることを示すバッジが表示されます。元請もCCUSを登録している技能者であれば、現場入場に安心感が得られます。国としっかりと連携している点も高い評価につながっています。

金融機関や異業種と連携、サービス拡大へ

 ──福岡を中心とする九州では、どのような戦略で臨まれていきますか。

 大塚 九州はこれから伸ばしていきたい地域です。現在、九州では約1万3,000事業者に利用いただいています。うち法人は約5,000社ほどです。これまでテレビやラジオのCMやデジタルマーケティングにより、利用事業者を増やしてきました。

 現在は、当社が提供する各種サービスの販売を担うパートナー企業の募集に注力しています。建設関連企業から金融機関に、「この人手不足を解決できる方法はないか」と相談されるケースは意外と多く、多数の地方銀行との連携を進めてきました。また、事務機販売会社など、さまざまな業界との関係を強化しています。九州はまだまだ手薄な部分もありますので、パートナー企業との連携を強化していければと考えています。

技能者の独立起業、もっと容易に!!

 ──技能者には、社会保険未加入問題など課題も多いですが…。

 大塚 技能者の処遇低下につながる社会保険未加入問題は、より具体的な実態解明が必要です。19万事業者が登録している強みを生かして、ヒアリングや調査をしていく方針です。私は一人親方が独立起業し、法人化する動きに注目しています。実は以前、登録している技能者に「今後のキャリアについてどのようにイメージしていますか」と質問したところ、一人親方は、独立思考が強く、経営者としてキャリアアップを望む方が多いことがわかりました。

 当社独自で集めた情報をより広く周知していく目的で、「助太刀総研」を立ち上げ、建設業界に関連するデータやレポートの情報発信をスタートしました。

きんでんと協同で、協力会社の採用支援

 ──(株)きんでん(大阪市北区)が協力会社の人材採用を支援することで話題になりました。

 大塚 きんでんと協同で、同社協力会社の人材確保をサポートする取り組みを開始しました。当社のサービスは、きんでんでいえば協力会社に活用いただくケースが多いのですが、協力会社の人手不足を支援することで、きんでん全体の施工力向上にもつなげることができます。きんでんとの協業では、協力会社に対して、「助太刀社員」の導入や、職人と工事会社のマッチングサービス「助太刀 法人プラン」を推奨することで人材確保を実現し、施工体制の強化を図っていきます。

 大企業が協力会社の人材採用を支援する取り組みとして、注目いただくことができていますが、このような好事例を今後も増やしていきたいと思います。

【長井 雄一朗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:我妻 陽一
所在地:東京都新宿区西新宿6-18-1
    住友不動産新宿セントラルパークタワー14階
設 立:2017年3月
資本金:9,000万円
TEL:03-6258-0526
URL:https://suke-dachi.jp/company/

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