2024年05月26日( 日 )

福岡企業がフィリピンで住宅供給 大型プロジェクトも

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 九州八重洲(株)は2017年6月、フィリピン共和国に現地法人Ambitious Urban Development Philippines Inc.(以下、Ambitious社)を設立。以降、フィリピンでの住宅開発事業を手がけている。現在、同社では現地パートナー企業とともに8エリアでプロジェクトを進めているが、今回はそのうち3つの開発地に赴き、視察を行った。

安定した住宅供給につながる
パートナー企業との信頼関係

Caliya
Caliya
<概要>
所在地:ケソン州カンデラリア
戸数:970戸 面積:9.8ha

    九州八重洲(株)はこれまでフィリピンで、数百棟規模の住宅地開発プロジェクトを複数件成功させており、現在もマニラからの交通アクセスの良い場所を中心に、各地で開発を行っている。視察したうちの1件、Savana(サンパブロ)については第1期(398棟)が完売し、現在は2期目がスタートしている。

Santevi
Santevi
<概要>
所在地:ラグナ州サンパブロ市
戸数:643戸 面積:9.2ha

    フィリピンでのプロジェクトは同社だけで行うのではなく、現地のパートナー企業が候補地を選定し、同社との間で協議・検討のうえで開発がスタートする。フィリピン企業についての印象を同社代表取締役・中島久雄氏にうかがうと、「これまで複数の企業さまとの間で協業させていただきましたが、日本でのパートナー企業とのお付き合いの仕方は、特段変えていません。お互いの誕生日パーティーやクリスマスパーティーに出席したり、ご自宅に招かれたりと、古き良き日本の昭和時代を感じさせられます。また、当社のパートナー企業は不動産に対する知識と経験を豊富にお持ちで、安心して任せられます」と評価。安定した住宅供給が叶っているという。

Savana <概要>所在地:ラグナ州サンパブロ市 戸数:588戸 面積:6.8ha
Savana
<概要>
所在地:ラグナ州サンパブロ市
戸数:588戸 面積:6.8ha

各所に現れる、日本の住宅との違い

 フィリピンと日本では、住宅購入の目的も異なる。家族を大事にする文化の強いフィリピンでは、両親と3~6名の子どもという家族構成が一般的で、この子どもたちが「両親、または弟・妹たちのために」マイホームを購入するというケースが最も多い。同社が手がけてきた物件でも、購入者の多くがこのケースで、海外勤務のフィリピン人が母国に残る家族のために住宅を購入することも多いという。

 また、文化や気候が違うため、住宅の特徴も異なる。フィリピンならではの特徴を見てみよう。

(1)構造

 構造の面では、「コンクリートブロックで構成されていること」が特徴として挙げられる。梁や柱の部分には鉄筋コンクリートを使用し、その間を埋めるようにコンクリートブロックを積み上げてつくられた建物が多い。このコンクリートブロックも、フィリピン国内でつくられたものは強度が低いが、同社では日本品質をベースにしていることから、従前の工法とは異なるPC工法を採用。壁一面を1つの鉄筋コンクリートパネルでつくり上げるもので、強度の向上のほか、短い工期での完成が可能という特徴をもつ。

(2)間取り

 もう1つの違いは間取りだ。靴を脱がない文化であるために、玄関・玄関ホールがないほか、キッチンにはバックヤードがあること。さらに、ある程度収入がある層はお手伝いさんのための小さな部屋が付帯している。

 また、温かいお湯に浸かる文化の日本人とは異なり、水のシャワーを浴びることが日常となっているフィリピンでは、シャワールームに浴槽がないほか、そもそも給湯器が設置されていないことも多い。1年中暑い気候にあるフィリピンでは1日のうち2~3回シャワーを浴びることも珍しくなく、同社の物件においては、各フロアにバスルームが設置されている。

(3)引渡し

 東南アジアの住宅では「スケルトン渡し」が主流となっており、購入後に自身で内装業者を手配する必要があるなど、購入者にかかる時間的コストが大きい傾向にある。同社では、日本と同じように内装まで施工したうえで引渡しを行っている。

 コロナ禍においては、フィリピンでも住宅需要に変化が見られた。「当社の物件でいえば、以前は複数の住宅が連なった『タウンハウス』が人気でしたが、最近ではシングルやデュプレックスの人気が高まっています」(中島社長)。
 これは、コロナ禍において家で過ごす期間が長期化したことに起因しているとみられ、日本でもコロナ禍でのステイホーム期間で住宅を見つめ直す時間が長くなり、リフォーム需要が高まったことと同様の事象であると考えられる。また、フィリピンにおいても都心部に居住する必要性が低下し、郊外国人気も高まっていることも、同社の商品に注目が集まる1つの理由となっている。

● ● ●

 日本では人材不足が深刻な問題となるなか、Ambitious社ではスタッフの定着率が高く、互いのことをありのままに話すことができる家族のような関係性を構築できているという。中島社長は、「(フィリピンの)約1億人という人々のなかでめぐり合えた縁を大事にしていきたい」として、スタッフのスキルアップを目的としたトレーニングや研修を実施するとともに、今後も現地での住宅開発・地域貢献に積極的に取り組んでいきたいと話した。

【杉町 彩紗】


<COMPANY INFORMATION>
九州八重洲(株)

代 表:中島 久雄
所在地:福岡市博多区東比恵1-5-5
設 立:1977年11月
資本金:1億8,000万円
TEL: 092-472-2888
URL: https://kyushu-yaesu.co.jp

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