【佐賀】国スポ開催で県内投資拡大なるか(後)
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民間の開発意欲も高まる
佐賀での国スポ(旧・国体)開催は、1976年開催の「第31回国民体育大会(若楠国体)」以来、実に48年ぶりとなる。国スポでは、陸上競技から水泳、馬術、空手、なぎなた、クレー射撃などの正式競技37競技のほか、合気道、草スキー、滝登りといったデモンストレーションスポーツ28競技など、多種多様な全73競技が実施される予定で、開催期間中は佐賀県全域がスポーツのフィールドと化す。
全障スポこと、全国障害者スポーツ大会は、障がいのある選手が競技を通じてスポーツの楽しさを体験するとともに、多くの人々が障がいに対する理解を深め、障がいのある人の社会参加を推進することを目的として開催されている。65年に宮城県を舞台に第1回大会が開催され、以降、オリンピック終了後に開催されるパラリンピックのように、毎年の国体終了後に開催されている。
国スポ全障スポ関係者を迎え入れるべく、佐賀県内の各地域では関連施設の整備が実施された。たとえば、軟式野球の開催地となる武雄市では、武雄市民球場が22年7月に供用開始。建設費は約15億円で、九州ひぜん信用金庫にネーミングライツ(命名権)が付与されたことで、愛称は「ひぜしんスタジアム」となり、市には命名権料として年間150万円が支払われる(使用期間は32年まで)。
県下各地域で盛り上がる建設投資だが、熱視線を送られているのは、やはりサンライズパークのお膝元、JR佐賀駅周辺エリアだ。国スポ全障スポ開催により利用増が見込まれる佐賀駅前広場(北口)は、再整備によって歩行者が東西南北どの方向へも横断可能になり、「サンライズ口(北口)」の愛称が付与された。そこからサンライズパーク方面へと伸びる都市計画道路・市道三溝線(愛称:サンライズストリート)でも、アパホテル前交差点から血液センター前交差点までの区間が無電柱化されるなど、動線と見晴らしの改善が進んでいる。
佐賀駅前広場(南口)も22年11月に再整備が完了。車の往来が中心の場所から、人が集い、憩うことができる場所へと生まれ変わった。南口ではこのほか、閉店した西友佐賀店の駐車場跡地(敷地の一部、約3,600m2)を佐賀市が土地所有者から買い取り、土地所有者と共同で、敷地全体(約1ha)の土地利用を担う民間事業者を公募するための準備を進めている。
国スポ全障スポの開催を契機に進む佐賀駅周辺での再整備が呼び水となり、民間の開発意欲も高まりを見せている。佐賀駅まで徒歩10分圏内では、(株)エス トラストによる「オーヴィジョン夢咲公園Ⅱ」(RC造・地上13階建、全58戸[非分譲6戸含む])が23年12月上旬の竣工に向けて建設中のほか、佐賀県庁や長崎街道沿いの呉服元町ストリートマーケット、佐嘉神社といった観光スポットにも近い水ケ江2丁目では、(株)シフトライフによる「アメイズ佐賀城内ザ・プレイス」(RC造・地上15階建、全42戸)が計画されている。
佐賀駅まで車で10分圏内の松原や高木町では、複数の空き地が散見された。佐賀駅周辺エリアの住み心地をアピールする機会にもなる、国スポ全障スポの開催で、こうした遊休地の有効利用が進めば、衰退が進む地方自治体に対して、開催地におけるスポーツの成長産業化と土地活用の促進をはたした先行事例を示すことができるだろう。公共的な役割が強いスポーツ大会の開催だが、官民連携を加速させることで、まちの再生を担えるだけのポテンシャルは十分にある。
(了)
【代 源太朗】
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