2024年06月24日( 月 )

【BIS論壇No.422】戦略インテリジェンス・シンポジウム

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 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は10月25日の記事を紹介する。

参議院議員会館 イメージ    さる10月12日、参議院議員会館会議室で初の「第1回戦略インテリジェンス・シンポジウム」が開催された。この会議開催は7月のBIS(日本ビジネスインテリジェンス協会)32周年記念第182回の情報研究会(おける第2衆議員議院会館会議室)での松延洋平顧問からの提言が基で開催されることになったものである。 同顧問からはBIS研究32年目を迎え、ビジネスインテリジェンス(高度経済・経営情報)の研究に加え、昨今、日本政府が注力している経済安全保障の経緯からも、重要情報の機密保持、サイバー攻撃などへの対応策も研究すべき時ではないかとの提言であった。

  早速、かねて懇意にしている日本コンペテイテイブ・インテリジェンス学会の菅澤喜男顧問(元日本大学大学院教授)、高橋文行会長(日本経済大学大学院教授)にも相談した。上記2情報研究会に加え、防衛省関係者で構成され、活発な情報研究を精力的に行っている日本安全保障・危機管理学会の二見宣理事長にも相談した。その結果、10月12日に3情報研究機関で合同情報研究会を開催する方向で意見の一致を見た。

 欧米では英国の有名な諜報機関MI6、米国のCIAなどの情報専門家が中心となり、とくに冷戦終結後ビジネスインテリジェンス、コンペテイテイブ・インテリジェンスの研究が1980年末より積極化した。

 このような流れを受けて、1986年にCIAの情報専門家が主体となり、競争情報専門家協会(SCIP=Society of Competitive Intelligence Professionals)がバージニア州に設立された。この情報研究組織では情報技術、とくに競争情報のビジネスへの適用に関し、熱心な情報研究が米国を主体に開始された。研究会には毎回300~500人内外の産官学軍の情報研究家が国内外から参加。熱心な研究が行われている。

 この競争情報協会の1989年のニュ―ヨークでの情報会議に筆者も講師として招待され、日本総合商社の情報収集、活用の現状について講演した。これが筆者が競争情報、ビジネスインテリジェンスの研究を始めたきっかけとなった。ニューヨーク駐在から1990年に帰国後、2年の準備期間を経て、92年に日本ビジネスインテリジェンス協会を設立したのは上記の経緯からである。縁とは不思議なものだ。

 一方、米国、フランス、スウェーデンには「情報戦争学校」も設立され、ビジネス競争情報の研究が盛んになっている。2006年にはフランスのベルサイユに「欧州経済情報大学院」が創設され、EUの官民学軍の経済情報研究が開始された。欧米の大学や大学院では経済情報の教育が導入されており、活発な情報研究が始まっている。スウェーデンのルンド大学院では1970年代からBI(経済情報)の祖とわれるステバン・デヂエル博士が経済情報活用と情報機密保持講座を開講。今日、米国では40以上の大学、大学院が経済情報、競争情報の講座を開設。多数の経済情報学修士・博士を輩出している。

 かかる欧米の情勢に対応するため、上記関係各位のご尽力で創設された「日本戦略インテリジェンス・コミュニティ」がビジネス情報、競争情報、危機管理などにさらなる努力を注ぎ、欧米の情報研究に肉薄することを期待したい。

 上記情報研究会は今後、毎年、3情報研究団体合同で開催し、日本のビジネスインテリジェンス、競争情報、経済安全保障、危機管理の意識向上に尽力したいものである。2024年度はBISが幹事ゆえ、BIS関係各位のご助力と、ご協力を期待する次第である。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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