2024年05月07日( 火 )

高架化・新駅で熱帯びる、西鉄沿線の再開発状況(後)

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開発熱高まる雑餉隈

 ららぽーと福岡から自動車や自転車の利用で15分圏内の雑餉隈駅周辺では、立体交差事業も追い風となり、博多中南部エリアに劣らず、再開発が熱を帯びている。博多駅前3丁目交差点から春日市との境界にあたる博多区光丘町3丁目までを結ぶ、筑紫通りの整備が実施されたほか、(仮称)麦野公園や駐輪場(500台)の整備が来春の開業を目指して進められている。さらに、高架下公園の整備や電気自動車用急速充電設備の設置計画もある。高架沿いの福岡市立三筑公民館側では、「南部療育センター(仮称)新築工事」(施工:旭・西鉄・岩堀JV)も進んでおり、合わせて側道16号線の広幅員歩道整備が行われる。

 民間開発では、雑餉隈駅まで徒歩5分程度のボーリング場・フラワーボウル側で、第一交通産業(株)による「アーバンパレス博多グロウサイド」の建設が進む。RC造・地上14階建の全104戸で、25年3月竣工予定となっている。同じく、雑餉隈駅まで徒歩5分程度の中尾公園側では、(株)GSI興産による「(仮称)グロース相生町レジデンス」が計画されている。建築物の概要は、RC造・地上14階建の全39戸。このほか、雑餉隈駅まで徒歩20分圏内の博多区井相田では、大英産業(株)による「サンパーク南福岡グラッセ」(RC造・地上7階建の全32戸、9月竣工)や、(株)明和総研による「(仮称)(株)明和総研様マンション」(RC造・地上10階建の全49戸、10月ごろ着工予定)の開発計画が進む。

 雑餉隈駅からすぐの場所には、味のある銀天町商店街があるほか、新駅・桜並木駅方面へ向かう途中にはレトロな趣の銭湯・こがね湯もあり、立体交差事業や民間開発によってまちの景観が様変わりするなかにも、地域の特色が残されている点が何とも味わい深い。

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 立体交差事業による雑餉隈駅から下大利駅(大野城市)までの高架化は、改めて博多区南部と大野城市西部を一体的に捉えるきっかけをもたらしたといえる(意外と知られていないが、雑餉隈駅は福岡市博多区にあるが、雑餉隈町というエリアは大野城市に属している)。

 これまで述べてきたように、高架化にともない19カ所で踏切が撤去されたことによる通過時間の短縮は、体感的にも心理的にも、行政境界をまたいでの移動を容易にさせた。自動車、自転車、歩行者それぞれの動線変化を、IoTツールなどを活用し分析し、その結果を官民で共有できれば、新たなまちづくりのグランドデザインを描く際の一助になるはずだ。高架化された西鉄沿線の各エリア単位ではなく、より広域的な視点でまちづくりを考えることが、人口減少社会においては、より重要となる。

(了)

【代 源太朗】

(前)

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