2024年10月15日( 火 )

ゼネコン&マンションデベロッパー103社特別レポート2023発刊!(3)価格転嫁進むも人件費が利益圧迫

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 今回調査対象とした福岡の上位ゼネコン83社のうち、44社は売上総利益が前年より増加している。10億円を超えたのは14社で、前回の調査より4社減少している。売上高と売上総利益どちらも増加した企業は34社となった。

 売上総利益率が20%を超えたのは7社で、前回よりも1社増加した。九州総合建設(株)、粕屋殖産(株)、久留米建設(株)の3社は昨年度に引き続き20%超を維持している。とくに、2倍以上の増収となった(株)黒木工務店が40%に迫る売上総利益率となった。井樋建設(株)は前回16位から7.09ポイントの増加により4位へ浮上している。

 経常利益に関しては、83社中38社が前期より増加した。三軌建設(株)は減益となったが、2位から1位へ浮上している。昨年度は上位2社が20億を超えていたが、今年は該当する企業はなかった。経常利益率が10%を超えたのは前回から6社減り、4社だった。また、昨年1社のみだった経常赤字は、今年は4社に増加した。

 売上総利益率上位60社に焦点を当てると、2018年からの売上総利益率と経常利益率の平均値と中央値はいずれも上昇傾向となっていたが、23年は低下に転じている。上位地場ゼネコンは資材高騰下でも売上総利益率を上昇させたことから価格転嫁が進んでいるといえるが、それも23年の減少から頭打ちになったとも捉えられる。経常利益率は平均と中央値どちらも5%前後で推移しており、大きな変化は見られない。この頭打ち状態をみるに、人件費上昇分まで上乗せできているゼネコンは多くないと推測できる。

 日本の人口がますます減っていくなか、建設業界の人手不足が深刻化しており、技術者の数も減っていくことが予見される。このような状況下で、今後は労働力や技術力という手札を持つ下請業者が、元請業者を選ぶようになる可能性も出てきた。重層下請構造による主従関係を口実に、人件費の高騰によるコスト増を川下企業に負担させる方法が今後も通用するとは限らない。目先の活況が終焉したとき、二極化が顕わになった業界で生き残るためには、施主だけではなく、下請業者にも選ばれるゼネコンになることが求められている。

【岩本 願】


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