20余年を経て始動、周船寺駅南エリアの開発
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自然と調和したゆとりある地域
JR筑肥線・周船寺駅の南側で計画されている地区計画が、11月の都市計画審議会を経て、12月に決定・告示される予定で、いよいよ周船寺駅南エリアの開発が動き出す。近隣エリアでは北原・田尻土地区画整理事業が2023年度の完了(換地処分)に向けて進んでおり、相乗効果が期待される。
周船寺駅南エリアのまちづくり構想自体は、20年以上前から存在していた。九州大学の移転にともない、1997年に福岡市は伊都土地区画整理事業に着手。同事業の第三工区に設定されていたのが、周船寺駅南エリアだった。しかし、諸事情から99年に白紙となり、現在まで水田と民家が広がるエリアとなっている。再開発推進派からすれば残念な結果となったが、白紙撤回となったことで、2001年からはJA主催「周船寺コスモスまつり」が開催されるようになるなど、自然と調和したゆとりある地域として住民から愛されてきた側面もある。
九大効果もあり、元岡や西都、北原・田尻などの周辺エリアで新たな賑わい創出が進むなか、鳴りを潜めることになった周船寺駅南エリアのまちづくりだが、福岡市議会議員を6期務めた地元・周船寺の冨永計久(とみなが・かずひさ)氏が実現に向けて尽力。地権者との対話や勉強会を通じてまちづくりへの理解を深めていき、20余年の時を経て、ついに本格始動をはたすことになる。
都市機能の誘導と良好な住宅地形成
周船寺駅南エリアの地区計画の原案によれば、対象エリア(約16.1ha)はJR筑肥線・周船寺駅まで500m圏内で、駅前にふさわしい都市機能の誘導と、良好な中低層住宅地の形成が図られるほか、国道202号バイパス沿いに、ロードサイド店舗などの商業施設の誘致を目指す。地権者も希望していた周船寺駅南口が新たに設置されることから、国道202号バイパスと周船寺駅をつなぐ都市計画道路「(仮称)周船寺駅南線」(約240m)と、交通広場(約1,350m2)の整備も計画されている。
エリア内は、駅前ゾーン(約2.1ha)、複合ゾーン(約5ha)、沿道ゾーン1(約3.4ha)、沿道ゾーン2(約3.6ha)、住宅ゾーン(約2ha)の大きく5つのゾーンに分かれる。
また、国道202号バイパスは、福岡市を起点に佐賀、長崎を通る西九州自動車道の一端も担っており、周船寺ICがフルIC化されれば、市の中心部(天神・博多)から九大伊都キャンパスまでの最寄りICとなる。交通渋滞の緩和や物流における配送ルートの最適化にもつながるため、フルIC化の議論が進展することへの期待も高まる。
緑化率を定めるなど景観や環境への配慮もなされているが、11月の審議会を経て最終的にどのような計画になるのか、引き続き注目していきたい。
【代 源太朗】
周船寺駅南の地区計画へ寄せて
福岡市議会議員 田中 たかし 氏
周船寺駅南地区の地区計画は、JR周船寺駅の南側で進む新たなまちづくりで、地域の賑わい創出が期待されます。組合施行による土地区画整理事業が検討されており、住宅や公園、商業施設などが整備される予定です。今宿道路の沿線で、福岡市の中心部・天神や、観光地として人気の糸島市へ車でも移動しやすく、通勤やレジャーに便利な立地となっています。周船寺駅近隣の既存施設にとどまらず、徒歩圏内にある隣駅、九大学研都市駅周辺エリアの公共施設や商業施設も普段使いしやすいため、相応の生活利便性が確保されている点も強みです。
このように高いポテンシャルを秘めている周船寺駅南地区のまちづくりですが、将来にわたって賑わいを維持していくためにも、事前に考慮しておくべきことがあります。たとえば人口予測です。少子高齢化をともなう人口減少は避けられないため、新設予定の施設については、将来的な転用についてもあらかじめ考えておいたほうが良いでしょう。また、新住民の皆さんは筑肥線を利用することになると思いますが、現状、筑肥線利用客はJRと市営地下鉄の両方から初乗り運賃がかかり負担が大きいため、乗り継ぎ割引の拡大に対する声は少なくありません。朝・夕のラッシュアワーには交通渋滞も発生します。周船寺ICのフルIC化を含め、最適な動線設計は地域住民の暮らしやすさにつながるため、確度の高い人口予測とそれに基づくまちづくりを進めていくことが、大切であると考えています。
九大学研都市駅周辺は九大生向けの賃貸住宅が多く、結果として地域コミュニティの維持は、昔からそこに暮らす地元住民の皆さん頼りとなっている状況です。地域に根付く定住者を増やすことが、地域コミュニティの形成・維持には不可欠です。高いポテンシャルを秘めている周船寺駅南エリアのまちづくりだからこそ、賑わいと豊かさに溢れた、活力あるものになるよう、引き続き尽力してまいります。
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