2024年05月05日( 日 )

通販会社「大和心」のHPが大炎上~DHC元会長・吉田嘉明氏の軌跡(中)

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 「雀百まで踊り忘れず」──雀は死ぬまで飛び跳ねるくせが抜けないように、人は若い時に身につけた性格は、年をとっても変わらないという意味。大手化粧品会社ディ-エイチシー(DHC)創業者で元会長だった吉田嘉明氏(82)が、新たに立ち上げた通販会社「大和心」のホームページ(HP)が大炎上した。DHCの時と同じように差別発言をぶち上げたためだ。

DHC、大和心の文章はヘイトに彩られている

 吉田氏の躓きの石なったのは、ヘイトスピーチだった。ヘイトスピーチとは、特定な国の出身者であること、または、その子孫であることのみを理由に日本社会から追い出そうとする言動のことだ。

 吉田氏は20~21年、会長を務めていたDHCのHPで、競合企業について触れ「CMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です」と記述。さらに、朝鮮半島出身者への蔑称「チョン」という言葉を用いた差別発言も掲載した。内容に批判が高まり、不買運動に発展、DHCは21年5月末までにすべての文章を削除した。

 大和心の文章もヘイトに彩られている。

 〈大和心のHPには、「日本に敵対している国(中国・ロシア・北朝鮮)の製品、生鮮食品およびその加工品は、一切取り扱いません」と宣言していた。だが、ネットでは「今どき中国で製造されていない商品を本当に扱っているのか」「この経営者の家には中国製のものは一切ないんだろうな」という声のほかに、「おいおい、中国が生産地の商品売っているじゃないか」という声が〉(前出日刊ゲンダイDIGITAL)

 大和心のビジネスがどういう展開をたどるか、興味があるところだ。

北九州のFMラジオ局「CROSS FM」を堀江貴文氏に売却

ラジオ イメージ    吉田氏は、化粧品事業のDHCをオリックスに売却したが、化粧品以外の事業は個人で保有していた。それらの事業も次々と手放すことになる。

 ホリエモンの愛称で知られる実業家の堀江貴文氏が、出身地の福岡県内で放送するFMラジオ局「CROSS FM(クロスエフエム)」(北九州市)の株式を取得し、代表取締役会長に就いた。吉田嘉明氏から株式の譲渡を受けたと、報道各社が23年9月23日、一斉に報じた。

 CROSS FMは08年4月、経営破綻したエフエム九州の受け皿として設立。東京の再生ファンド、ネクスト・キャピタル・パートナーズ(NCP)が全額出資した。

 再生に成功したことから、16年4月、NCPは保有する全株式を化粧品メーカーのDHCに売却。DHCの吉田会長はCROSS FMの会長に就いた。

 22年3月、オリックスがDHCを買収したが、オリックスは化粧品事業しか買収しないため、CROSS FMは吉田氏個人が100%出資する個人企業となった。

 今回、堀江氏がCROSS FMを買収した。堀江氏といえば、過去に社長を務めていたライブドアを通じて、ラジオ局「ニッポン放送」の買収を仕掛けたことがある。

 ライブドアは05年にフジテレビの筆頭株主であるニッポン放送株を買い進め、フジテレビの乗っ取りを試みた。この時の攻防戦は、お茶の間を賑わせ、堀江氏は「ホリエモン」の愛称で人気者となった。ただ、この時はフジサンケイグループ側の防衛策もあり、ライブドアはテレビ局やラジオ局の経営に加わることができなかった。今回、故郷のFM局の経営に参画。どんな新機軸を打ち出すかが注目されている。

(つづく)

【森村 和男】

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