2024年05月07日( 火 )

立憲との合流は前途多難な国民の党大会

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 国民民主党は12日、党大会を開催し、「自民党の裏金問題は看過できない」と明記した活動方針を採択した。

 同党の玉木雄一郎代表は、自民党安倍派などの政治資金規正法違反事件について、「政治に対する信頼が確保されていなければ政策の推進はできない」と批判したうえで、「引き続き政策ごとに一致する他党とも連携しながら、政府に実現を求めていく」と語り、従来の与党寄りから立憲との関係も重視する姿勢を示した。

 国民が与党寄りの姿勢をとってきた背景には、玉木氏ら執行部が、麻生太郎自民党副総裁らとの関係を通じて、政策実現を訴えてきたことがある。

 ところが、派閥の政治資金問題で、岸田首相が岸田派(宏池会)の解散を宣言し、安倍派(清和政策研究会)、二階派(志師会)も相次いで解散したことで、政権の主流派であった岸田派、麻生派(為公会)、茂木派(平成研究会)の3者連合が崩壊した。

 麻生・茂木両派は、連合系の民間労組を取り込むことを念頭に、国民との連携を進めていたが、3者連合が崩壊したことで、国民が求めていたガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除を検討する自民・公明との3党協議がまとまらなくなった。

 また、玉木氏や榛葉賀津也幹事長は、立憲が安全保障や憲法、エネルギー政策などについて旧社会党の流れを汲む公務員労組や左派支持層に配慮することを敬遠し、与党寄りの姿勢を取っていた。

 昨年12月23日、玉木代表は、福岡市内において、立憲と共産党との協力関係について次のように述べた。

「立憲共産党のような状況になっているのは、我々も連合も心配している」

 これは「連合」(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長が記者会見で、立憲民主党に対し、「市民連合」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)が仲介する共産党との会合に今後参加しないよう求めたことに同調したもので、芳野会長の発言を持ち上げることで、共産党を含めた選挙協力に釘を刺した。

 立憲と国民の福岡県連は昨年11月、連合福岡の仲介で次の衆議院選挙における県内11選挙区のうちの7選挙区について、候補者をすみ分けるという内容の合意書を締結したが、玉木氏は福岡における選挙協力は「あくまで限定的なもの」としていた。

 玉木・榛葉両氏の与党寄りの姿勢に不満を募らせたのが前原誠司代表代行らで、前原氏は元滋賀県知事の嘉田由紀子氏、斉藤アレックス氏らと国民を離党し「教育無償化を実現する会」を結党した。

 一方、残留した国会議員や地方議員のなかにも、自民党にすり寄る姿勢を見せる玉木執行部への不満がたまっていた。

 党大会において、活動方針に「対決より解決」の姿勢で引き続き臨むことを盛り込んだが、玉木氏が「裏金問題は看過できない」と表明したことで、与党寄り路線の修正を内外に示したものといえる。

 ただ、立憲の岡田克也幹事長が、11日放送のBSテレ東番組で、「もう一回大きな固まりを目指したい。連合も一本で応援しやすくなる」と述べたことに関して、榛葉氏は「ある政党の方が考え方を改めるなら一緒になってもいいといわれたが、大きなお世話だ」とも発言しており、国民・立憲の合流は一筋縄ではいかないだろう。

 国民所属のある地方議員は、データ・マックスの取材に対し「連携できるところは、国家国民のために力を合わせて行ければと思う」と語った。

 今の政治のおかしさを改善するには、旧態依然とした左右の対立構図から抜け出し、野党が幅広く結集すること、そして何より市民1人ひとりが関心をもつことが求められる。

【近藤 将勝】

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