2024年05月21日( 火 )

天神通線の延伸に予算、渡辺通5丁目のイマ(後)

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北側延伸部分で進む
2つの天神ビッグバンPJ(つづき)

 もう1つのプロジェクト「(仮称)天神一丁目15・16番街区計画」は、天神一丁目15・16番街区の地区内有志の地権者で構成される「天神一丁目15・16番街区再開発準備組合」(事業協力者:西日本鉄道(株)、日鉄興和不動産(株))によって福岡市に計画概要書が提出および受理された複数街区にまたがる段階的および連鎖的なプロジェクトである。

水鏡天満宮
水鏡天満宮

    同街区には、天神の名前の由来となった水鏡天満宮や国の重要文化財である赤煉瓦文化館などの歴史・文化資源のほか、那珂川に面した立地環境など、天神のなかでもほかにはない貴重な資源を有している。また、同街区内で更新時期を迎える建物(築30~70年程度)が多いことや、天神通線の延伸が計画されていることなどの背景を踏まえて、これまで地区内有志の地権者によって、歴史・文化資源と水辺の恵まれた環境を最大限に生かした街区を越えたまちづくりの可能性が検討されてきた。

 今回の計画では、福岡城の鬼門にあたる現在地にある水鏡天満宮を、方角を変えずに那珂川の水辺に近づけるほか、赤煉瓦文化館前の県道を天神通線へと付け替えて一体整備することで、那珂川に面した部分に水鏡天満宮や赤煉瓦文化館と一体となった緑・公園を創出。また、その西側部分に建物の高度利用と都市機能の更新や耐震性の向上、感染症対応、環境負荷低減などに資する建物計画を行うほか、低層・地上部には既存の特徴ある連続した店舗空間(横丁)等の継承を行っていく。この段階的・連鎖的な一体整備によって「リバーフロントNEXT」にも貢献する魅力的な空間創出を行うほか、市の進める「感染症対応シティ」「Fukuoka Art Next」などへの寄与や、天神明治通りまちづくり協議会が目指す「アジアで最も創造的なビジネス街」の実現に向けたまちづくりを進めていくとしている。

 今後、市街地再開発事業の事業計画等の検討および事業期間を決定し、2030年以降の実現を目標としている。26年12月末までの天神BBBの竣工期限には間に合いそうにないが、複数街区にまたがる段階的および連鎖的な建替え計画のため、特例措置を受けられる可能性は高い。

 これら2つのプロジェクトは、天神通線の北側延伸部分を挟むかたちで隣接しており、それぞれの再開発に合わせながら天神通線の整備も進んでいく予定だ。

南側延伸部分で困難な
用地取得と魅力維持

拡幅される予定の北側延伸部分
拡幅される予定の北側延伸部分

    今回の天神通線の延伸計画だが、先行して進むであろう北側部分約110mについては、前述の2つの天神ビッグバンプロジェクトに組み込まれるかたちで整備が進んでいく見通し。だが問題は、渡辺通5丁目エリアの南側延伸部分約190mだ。

 南側部分での延伸整備を進めていくためには、まず前出の「あかひげ福岡ビル」(98年8月竣工)などを取り壊すかたちで土地を確保したうえで、土地区画整理事業などの施行によって道路整備を行っていく必要がある。だが、築年数がそれなりに経過している建物はともかく、道路が通ることが想定される場所には「ホテル キャスヴィ 天神」(17年1月開業)やカプセルホテル「ウェルキャビン天神」(19年8月開業)などのまだ新しい建物も複数あり、用地取得および取り壊しには相応の時間を要するだろう。

 もう1つ懸念されるのは、延伸区間の沿線整備を進めるなかで、現在の渡辺通5丁目エリアがもっている雑多な魅力を失ってしまうことだ。たとえば、南側に隣接する渡辺通3丁目エリアも、かつては渡辺通5丁目と同様に下町情緒あふれる雰囲気を漂わせていたのだが、「渡辺通駅北土地区画整理事業」(施行期間:05~10年度)によって住宅・業務・商業等施設の複合的配置や、天神から博多方面への回遊性を高める都市計画道路の整備および生活道路の適宜配置を実施。その結果、エリア内の道路が広くなり、まちの雰囲気が明るくきれいになった一方で、雑多な雰囲気や魅力は失われてしまったように思われる。もちろん、得たものが多いか、失ったものが多いかの判断はつきかねるところだが…。

 同じように、かつて雑多な雰囲気がある種の魅力であった東区香椎エリアが、区画整理事業によってまちが一見整理整頓されたことで、以前の魅力が失われる事態となってしまったケースもある。渡辺通5丁目エリアにおいても、天神通線の南側延伸にともなう変化が、はたして吉と出るか凶と出るか──。

 今後、まずは北側延伸部分での整備が進んでいくことを見届けながら、いずれ進められるであろう南側延伸部分の動向についても、引き続き注視していきたい。

(了)

【坂田 憲治】

※本誌掲載時の記事内容に事実誤認箇所があったため、一部修正を加えております。

(中)

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