半導体関連企業進出に沸く大牟田・荒尾 再生は古賀氏が進めた道路整備にあり(後)
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「炭鉱城下町」として全国に知られた福岡県大牟田市と、熊本県荒尾市。両市は、炭鉱閉山後、人口減少など深刻な状況に陥った。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出により、にわかに工業用地として両市への注目が集まっているが、その背景に大物政治家が進めたインフラ整備があるという。
注目される有明海沿岸道路
大牟田・荒尾に注目が集まる理由として、道路インフラの整備が進められてきた点が挙げられる。現在、大牟田から荒尾まで自動車専用道「有明海沿岸道路」の延伸工事が進められている。沿岸道路は、大牟田市を起点とし、佐賀県鹿島市に至る計画の約55kmの自動車専用道路であり、国道208号および国道444号のバイパスでもある。
現在、開通しているのは大牟田市の三池港インターと佐賀市の諸富インターの区間など約40㎞の区間である。将来的に熊本市まで延伸する構想があり、沿線自治体では、荒尾・大牟田に限らず、企業誘致などを期待する声が多い。
実は「有明海沿岸道路」の整備が進んだ背景は、古賀氏の存在が大きいといわれる。2016年には、古賀氏に対して、出身地のみやま市(旧・瀬高町生まれ)から名誉市民の称号が送られたが、その理由の1つが「インフラ整備に対する功績」であった。
同市のホームページには、名誉市民とした理由を次のように紹介している。
「有明海沿岸道路は福岡県から佐賀県鹿島市を結ぶ地域高規格道路です。この道路で大牟田市、みやま市、柳川市、大川市が結ばれたことにより、国道208号線の混雑緩和と交通安全が確保され、地域間の交流促進・地域の活性化・観光振興が進んでいます。(中略)氏が都市と地方の格差をなくすべく、地方経済に活力を与える道路網の整備、社会資本整備に、故郷のため献身的に尽力された賜であります」
(みやま市公式サイト)古賀氏は「道路族」と呼ばれ、永田町界隈では、公共事業の利権を握る「政界の黒幕」ともいわれるが、地元では、地域社会に多大な貢献をした政治家として評価されている。
福岡都市圏のある自民党地方議員は、「県南は、道路インフラの整備が進んでいて、羨ましく感じる時がある。やはり与党に期待するのは、いかに地元にお金(事業)をもってくるのか」としたうえで「古賀さんのような視点をもった政治家が今、少なくなった」と語った。
沿岸道路は、現在の起点である三池港インターから、荒尾北インター(仮称)までの延伸工事が行われている。大牟田市は、今後の企業進出を想定し、臨海エリアを造成し産業団地にする計画を進めている。
同市は、西鉄電車やJR鹿児島線、九州新幹線が通り、九州自動車道へのアクセスも容易だ。福岡・熊本どちらにも行きやすい沿岸道路が整備されれば、今以上に人・モノの往来が盛んになるだろう。
毀誉褒貶がある古賀氏だが、有明海沿岸道路の整備に関していえば、氏の決断がなければ、衰退の一途をたどる大牟田・荒尾両市の再活性化はあり得なかったと断言できるだろう。
(了)
【近藤将勝】
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