2024年06月17日( 月 )

【次期衆院選】吉松県議は福岡4区に自民でなく無所属で立つべき

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 4月末の3つの衆議院補欠選挙は、自民党の不戦敗も含めて立憲民主党の全勝となった。自民党の政治資金問題が有権者の投票行動に大きな影響を与えたとみられ、次期衆院選への波及は避けられない。とくに逆風が吹くとみられる福岡4区は、保守分裂による激戦が予想される。

自民党に吹き荒れる逆風

 糟屋郡や古賀市、宗像市、福岡市東区の一部など福岡都市圏を選挙区とする福岡4区は、現在、自民党の宮内秀樹氏が現職である。長らく自民党の渡辺具能氏の地盤であったが、2009年の政権交代選挙で渡辺氏が落選し、山口4区から国替えした民主党の古賀敬章氏が当選した。

 しかし、12年の選挙では、民主党政権の失政や古賀氏が小沢一郎氏に同調して離党した経緯もあり、渡辺氏の元秘書である宮内氏が、日本維新の会の河野正美氏や、日本未来の党から立候補した古賀氏らを破って当選した。

 宮内氏は14年、17年、21年の選挙においても再選し、現在4期目である。第3次安倍内閣で国土交通大臣政務官、菅義偉内閣で農林水産副大臣を務め、自民党の中堅議員として期待する声が少なからずあった。

 ところが、安倍晋三元首相の事件後、自民党に逆風が吹くようになると、宮内氏の周辺でもさまざまな問題が浮上してきた。22年の旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との接点に始まり、昨年6月、シンガポールを視察した際のSNS投稿、そして、所属していた二階派からのパーティー券のキックバック収入の不記載が問題となった。

 宮内氏がもともと地元出身ではないこともあり、地元から議員を出そうという動きがくすぶっていた。12年の選挙の際、県議会議員を務めていた吉松源昭氏も名乗りを上げていたが、宮内氏が選ばれた経緯がある。

 その後、県議会議長も務めた吉松氏は、20年におよぶ県議会議員としての活動を通じて何としても国政へ行き、地元で生まれ育ち郷土に愛着のある自分が糟屋郡をはじめとする福岡4区の発展に尽力したいとの思いを強めていった。

若い世代の支持をいかにつかむか

 昨年6月、福津市内で開催された「福岡4区自民党県議団政経セミナー」終了後、吉松氏は、次期衆院選で福岡4区から立候補することを正式に表明した。その席には、4区内の同僚県議3人も同席した。吉田浩一(福津市)、井上正文(宗像市)、吉田健一朗(古賀市)の各議員である。

 宮内氏の政治資金問題でも、この4人の県議は県政記者クラブで記者会見を行った。宮内氏に公開質問状を送付したことを報告し、政治に対する国民の信頼回復のため、宮内氏に議員辞職もしくは自民党からの離党を求め、2週間以内に記者会見を開き国民に説明することを求めた。それから、半年が経過したが、質問状はうやむやのままである。

 自民党に対する大逆風が吹き荒れるなか、岸田内閣の支持率も低迷し、国会議員ばかりでなく地方議員にも多くの有権者から抗議や「支持をやめる」との声が届く状況となっている。福岡4区は、福岡市のベッドタウンという地域性から、若い世代の住民も多い。今の政治家の体たらくを見ていて、政治に怒りを感じる人は少なくない。

 自民党に対する国民の批判は、宮内氏だけでなく、県議である吉松氏にも大きく影響することになる。公開質問状を出したのはその危機感からだ。中央政界は、自民党内の政局の動きや野党の統一戦線が進まない状況だが、自民党幹部などから、6月末の衆議院解散の可能性を示唆する発言が出始めた。いよいよ戦いが始まろうとしている。

 自民党への逆風を懸念して、吉松氏が不出馬を表明するのではないかという話もあったが、地元関係者によると、それは事実ではないという。福岡4区内の自民党支部のなかでも、今こそ立つべきとの声が少なくないようだ。

 4区内の同僚県議のなかで、吉田健一朗県議と吉松氏は近しい関係で、よく意見交換もしているという。そうした関係もあり、吉松氏は古賀市において支持者回りなどを熱心に行っている。

 ある地元議員は「会見に同席した3人は、いずれも吉松門下生で、先輩である吉松さんを立てている。自民党県議団内は、温度差があり、本当に大丈夫なのかという声も聞かれる」と語った。

 4区内の自治体首長の多くは、宮内氏に近い首長が多い。とくに宗像市長・伊豆美沙子氏は、自民党県議出身だが、昨年の県議団セミナーも欠席し、関係者は「宮内氏支持だろう」との見方を示す。

 福岡4区は、北は宗像市から南は太宰府市と接する宇美町までと、そのエリアは広い。22年の公職選挙法改正による区割り変更にともない、福岡市東区の一部地域が4区に編入された。これによって福岡市も選挙区となり、これまで以上の激戦が予想される。

4区内の野党の動き

 自民党以外の動向はどうだろうか。現在、立憲民主党の空白区となっているが、連合福岡を通じた選挙区調整により、国民民主党が元NHKカメラマンの許斐亮太郎氏を擁立する方針だ。許斐氏は、連日、辻立ちを行い、県連会長である大田京子県議が頻繁に4区入りを行うなど、知名度の向上に努めている。

 先月6日、同党の玉木雄一郎代表が、福岡県入りし、JR新宮中央駅前で許斐氏と街頭演説を行い、同党の改革中道としての立ち位置を強調した。国民は、民間労組を支持母体としており、自民党に不満を持つ保守層の一部も取り込んでいく戦略を描いている。

 これは保守分裂のなか、保守層の受け皿になることを意味する。4区はほかにも、日本維新の会の現職・阿部弘樹氏や、社民党の宗晶子氏、参政党の河津昇氏も立候補を表明しており、激しい争いとなるだろう。

 逆風の自民党公認に固執することなく、吉松氏が無所属でも立つ決意をすれば、地元の支持者はもちろん、新たに編入された福岡市東区の有権者も期待することは間違いない。 

【近藤 将勝】

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