2024年06月13日( 木 )

玄界灘の龍神神社 宗像大社

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ
宗像大社
宗像大社

三宮がつなぐ海上路

 一般的に宗像大社と言われているのは辺津宮(へつぐう)だが、宗像大社は玄界灘に一直線に並ぶ沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)、大島の中津宮(なかつぐう)、宗像市田島の辺津宮の三宮の総称である。

宗像大社の祭神

田心姫神(たごりひめのかみ):三姉妹の長女であり、沖津宮に祀られている。港や船の安全を司り、海上交通の守護神とされている。
湍津姫神(たぎつひめのかみ):次女で中津宮に祀られている。海の豊穣と漁業の守護神として崇拝され、海の恵みを司るとされている。
市杵島姫神(いちきしまひめのかみ):三女で辺津宮に祀られている。航海の安全や海上の守護神として知られ、とくに島々と海を結ぶ神として信仰されている。広島の厳島神社などが祭神として崇めており、七福神の弁財天と習合、同一視されている。

 宗像大社は、古事記と日本書紀に由緒が記された日本最古の神社の1つであり、三宮をつなぐ線は古代から大陸と半島の政治、経済、文化の海上路であった。古くから海上・交通安全の神としての神威にちなんで信仰されているが、現在では海上に限らず、道主貴(みちぬしのむち)の名のもとにあらゆる道、陸上・交通安全の神として信仰を集めている。

 沖津宮がある沖ノ島は、現在も島全域が神域とされ入島禁止である。中津宮のある大島は宗像市神湊から船で25分かけてわたるしか行く方法がない。しかし、本土の辺津宮に第二宮(ていにぐう)、第三宮(ていさんぐう)として田心姫神、湍津姫神の分霊が祀られており、1カ所で三宮参ることができる。

 見どころとして、市杵島姫神が降臨した地とされている高宮祭場がある。古神道の根底には、あらゆる物に神や精霊、魂が宿ると考える自然崇拝の思想があり、現存が珍しい神籬(ひもろぎ)の古代斎場である。言い換えると建物をもたない神社といえる。ここに向かうまでには高宮参道と呼ばれる森の中の道を進む必要があり、周囲よりも気温が低く感じる。霊感など一切ない筆者でも、パワースポットであることが感じられる。

宗像大社は龍神神社?

 宗像大社が祀る宗像三女神は、その偉大さに反して知名度は低いように思う。そこで、まずは神話を紐解いてみたい。

 神話では、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の夫婦神は、火の神である火之迦具土神(ひのかぐつち)を生んだ際、伊邪那美命は火傷が原因で絶命する。黄泉の国に送られた伊邪那美命を伊邪那岐命が連れ戻そうと乗り込むが、連れ帰ることは叶わず逃げ帰る。黄泉での穢れを洗い流した際、天照大神(あまてらすおおかみ)、月夜見尊(つきよみのみこと)、素盞鳴尊(すさのおのみこと)が生まれた。

 気の荒かった素盞鳴尊は日ごろから大暴れしていたことが父の伊邪那岐命の怒りに触れ、遠く根の国へ追われることとなる。その際、姉の天照大神に別れを告げに高天原へ赴くが、そのときに山河が鳴り響き大揺れしたため、攻めてきたと勘違いした天照大神は武装して弟を待ち受ける悲しい誤解が生じる。素盞鳴尊は天照大神にいくら話しても疑いが解けないため、自分が男神を生めば潔白だとして誓約(うけい・正邪を判断する裁判のようなもの)を申し出た。

 それを受けてまず、天照大神が素盞鳴尊のもっている十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から三柱の女神が生まれた。次に、素盞鳴尊が、天照大神の八尺の勾玉の五百箇の「美須麻流之珠(みするみのたま)」というネックレス状のアクセサリーを受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から五柱の男神が生まれた。予告通り男を生んだことで、素盞鳴尊の身の潔白が証明されたのである。そして、天照大神と素盞鳴尊の誓約から生まれた三女神こそ、宗像大社が祀る神、宗像三女神なのである。

 水を司る神さまを祀る神社の多くは龍神神社として崇められる傾向がある。神話からも宗像三女神は、水に大きく関わっていることから、宗像大社もまた龍神神社の一社とされている。

宗像大社の建築様式

 宗像三宮の総社でもある辺津宮は往古より「第一宮(ていいちぐう)」と呼ばれ、全国約6,200社ある宗像神を祀る神社の総本宮と言われている。本殿は1556年に焼失したものを1578年に再建、拝殿は1590年に再建したものである。どちらも国の重要文化財に指定されている。

 本殿は、五間社両流造杮葺である。流造と呼ばれる建築様式は屋根が流れるような曲線を描いた建築様式で前後対象ではなく、前の庇が長いのが特徴。杮葺とは木の薄板を幾重にも重ねて施工する工法で日本古来より伝わる伝統的な手法の1つ。なお、杮(こけら)と柿(かき)とは非常に似ているが別字である。杮(こけら)は「こけらおとし」などと使われ、木片・木屑の意味である。拝殿は、切妻造妻入杮葺。切妻とは屋根を四方ではなく、左右二面に伏せたように杮葺き、前後を切り落としたような様式で、入妻は妻側に入口を設けて正面とするつくりである。

辺津宮本殿
辺津宮本殿

● ● ●

 地元では「車を買ったら宗像さんへ」といわれるくらい、車を買うとお祓いやお守りを受けに行く人も少なくない。福岡市内であっても宗像大社の交通安全のステッカーを見ることが多く、それだけ多くの人に愛されている神社だということがわかる。ちなみに、交通安全のステッカーは宗像大社が発祥である。

【外部ライター・奥野晃市】

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

法人名

関連記事