NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「メディアは国民民主大宣伝に総力を挙げている」と指摘したうえで「この〈工作〉に騙されてはならない」と訴えた5月1日付の記事を紹介する。
〈並ばない万博〉のはずが〈大行列の万博〉。鉄道路線が1方向に1線しかない孤島で鉄道トラブルが発生して帰宅困難者が発生。数少ない〈売り〉である〈空飛ぶ車〉が破損して運転を休止。自動運転のバスが自動的に動き出して壁に衝突。350億円も投下したリングが雨よけ、日よけの屋根になるはずが、雨天時には強風でリング下がずぶ濡れ。メタンガスが充満すれば爆発事故が再現されるリスクもある。
業界が買い取りを強要されたチケットを除くと民間でのチケット購入は極めて低調。つじつまを合わせるために小中学校の生徒児童を無料招待する事業が繰り広げられている。しかし、小中学校児童生徒の無料招待は決して無料でない。公費=税金が投入される。したがって、収支計算から公費によるチケット購入代金を差し引く必要がある。
日本財政が厳しいと言いながら万博を開催する理由は皆無。IR=カジノ建設予定地に交通インフラが存在しないため、万博を大義名分にして公費=税金で交通インフラを建造することが万博開催の最大の目的であったと考えられる。利権一色の大阪・関西万博である。
財政に関する議論が活発化しているが、最重要の問題は貴重な財源をどう配分するのかということ。不要不急の支出を排除して、絶対必要の対象に財源を集中させること。これが日本財政の基本命題。
現在の財政政策運営は最悪だ。絶対必要な対象への政府支出を削減して、不要不急の対象に財政資金投下を集中している。万博などは不要不急の対象の筆頭。意義深いイベントであるなら、公費=税金を投下せずに、民間資金でやればよい。民間の資金負担で実施し、収支をカバーすればよいだろう。交通インフラが必要なら、これも民間資金で整備するべきだ。
しかし、民間負担で実施が前提なら、だれ一人万博開催を推進しないだろう。財政支出は社会保障に限定するべきだ。産業振興の補助金も全面的に排除すべきだ。市場原理を重視して、民間の活力を生かすというなら、民間の責任と負担で事業を行うべきだ。民間事業者がロケット事業をやりたいときに、なぜ、一般市民が税金でロケット事業に補助金を投下する必要があるのか。そんな資金の余裕があるなら、高額療養費の本人負担を抑制するべきだろう。
学校給食を無償化すべきだ。高校、大学の授業料負担を軽減する支援に回すべきだ。民間のイベントを一般市民が税金で負担する必要もない。すべては、一般市民から金を巻き上げて、自分たちの利得のために公金を使っている図式だ。
万博を開催すれば、工事の事業者に巨額の資金が落ちる。交通インフラを整備すれば交通インフラの建設事業者に公金が落ちる。IRは公費で交通インフラを整備してもらえる。その〈利権〉に政治が関与する。
※続きは5月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「国民民主の人気はフェイク」で。
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植草一秀の『知られざる真実』