自律を獲り、自立できるか(前) ~親が子にやれること~(2)

あるシングルマザーが傷ついていた──フルタイムで働いて、娘の面倒は夕食まで実母が看てくれている。毎日夜遅く帰って、子どもにご飯をつくってやれないこと、娘と一緒にいる時間がどんどん短くなっていること、ただただ苦しいと──子どもと一緒に笑っている母との会話を観るだけで、自分は何をしているのだろうと涙が出てしまう。この世で一番大事な存在と一緒に夕食をとる代わりに、自分は遅くまで会社で残業している。罪悪感ばかりが募り、楽しく笑える余裕がないのだと。
選択肢を与えるのは誰?

さて、ここで必要となった“選択肢”を与える(_α_)とは誰のことだろう?「α=親」もあれば、「α=先生」もあるだろう。友達や親族も挙げられるかもしれない。子どもと過ごす時間が最も多く、かつ濃密な利害関係にある人。しかし現代では、そこに疲弊した親や先生が当てはめられるような状況になっているか、甚だ疑問である。
時間投資の効果は勉強か体験かによらず、子どもの学齢が小さいときのほうが大きい。子どもとの接する時間が多いほうが良いとは限らない。しかし、少なすぎるとどうしても見えずに(わからずに)、取りこぼしてしまうことが出てくる。ちょっとした会話、何気ないコミュニケーションのなかに、子どもの社会生活(友達との関係、クラスでの関係、考えていること、習慣、癖、思想など)が垣間見える。進路進学の岐路で、やりたいことが何なのか、向いていること特技を社会のフィルターに重ねていく考察…(課外活動、部活、習い事、進路進学、目標、未来など)。これらを知らずして、的確なアドバイス、最良な道筋を描く選択肢を閃くことはできない。
教育の世界では、子どもと接する手法として「スキャフォールディング(Scaffolding)」が知られている。直訳すると「足場」、幅広くとると「橋渡し」といった意味だ。学習・問題解決を促すために、大人・教師などがサポートすること。今できないこと、少しだけ難しいことに対し、挑戦していきやすいような刺激を与えることで、できるようにしていくことが幼児教育の要諦といわれる。つまり“ちょっと背中を押してやる”ことが、子どもたちにとって飛躍していくきっかけ、起爆剤になる。...

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