江藤拓前農林水産大臣が18日に自民党佐賀県連の政治資金パーティーに出席した際、価格高騰が続くコメについて「私は買ったことがありません。支援者の方々がたくさん米をくださるので、まさに売るほどあります。私の家の食品庫には」と発言し、辞任に追い込まれた。
そこで新たに石破茂首相が農相に任命したのが、小泉進次郎氏だ。昨秋の総裁選では、まさかの失速となり、首相(自民党総裁)の座は逃したものの、依然国民人気は高く、その改革力、発信力に期待する政界関係者は少なくない。
早速、小泉農相は備蓄米の入札を中止し、随意契約とした。小売の販売価格から逆算してコストを算出できるようになったことで、5キロ2,000円台のコメがスーパーに並び始めた。
さらに農林水産省は、30日から中小のスーパーや米穀店を対象とした、随意契約による備蓄米の売り渡しに向け、申請の受け付けを始めた。放出するのは2021年産8万tのコメで、販売価格は5㎏あたり1,800円ほどになるとみられる。
日本人にとって、お米は文化そのものといってもよい。毎食ではないにしても国産のコメなしには国民生活はもちろん、飲食業界なども成り立たない。
7月の参院選では国民の声を受けて減税が争点になると想定され、「手取りを増やす」ことを掲げた国民民主党の人気がうなぎ上りだった。一方、減税を否定した自民は選挙で不利だとみられていた。
しかし、政権奪還のために仇敵であったはずの日本社会党と連立を組んで、首相に社会党委員長を担いだのが自民党である。一方的にやられてばかりいるはずはないと思っていたが、小泉氏が農相に就任するや否や、メディアが、かつての父・純一郎氏の時と同様に、小泉氏の一挙手一投足を追いかけるようになった。
国会も会期末が近づくなか流れが変わってきた。少数与党の石破政権に野党は、甘い対応をしているが、参院選後の政権の枠組みを考えての「寸止め」だとしたら国民の批判を招くことになる。
【近藤将勝】