立憲・野田代表、内閣不信任案見送りで解散リスクを回避

国会議事堂 イメージ    今国会は実質的な会期末を迎えたが、立憲民主党の野田佳彦代表は19日の記者会見で、日米関税交渉の状況や、イスラエルとイランの衝突による中東情勢の緊迫を踏まえ、「政治空白をつくるべきではない。総理大臣経験者として判断した」と述べ、内閣不信任案を提出しない意向を表明した。

 一方、立憲の党内では「不信任案を提出して断固戦うべき」との主戦論も根強かった。小沢一郎、江田憲司両衆院議員ら有志議員は同日、国会内で会合を開き、石破茂政権に対する内閣不信任決議案の提出を野田佳彦代表に求める方針で一致した。

 会合で小沢氏は「目標は不信任案提出ではなく、政権の奪取、政権交代だ」と語り、出席議員からも「選挙を恐れるなら政治家にならなければよい」などの主戦論が相次いだという。会合には代理出席を含めて60人が出席したが、野田氏の判断を覆すには至らなかった。

 ガソリン税の旧暫定税率廃止法案の審議を拒否した自民党の井林辰憲・衆院財務金融委員長の解任決議が18日の衆議院本会議で、立憲、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決された。野党の「数の力」が証明された直後であり、野党がまとまれば内閣不信任決議案は可決される見通しだった。

 ただ、7月の参院選では、全国に32ある1人区の野党間調整が進んでいない。不信任案が可決され石破茂首相が衆議院の解散に踏み切った場合、野党は政権構想などがまとまっていない状況で選挙を迎えることになり、衆参ねじれによる優位性を失う可能性があった。

 野田氏は、日本維新の会の前原誠司共同代表にも見送りの意向を伝えており、前原氏は「一国の首相経験者としての判断を重く受け止める」として、野田氏の判断に理解を示したという。

 衆院選は昨年10月に行われたばかりで、再び選挙を行うのは避けたいというのが与野党議員の本音であり、そうした空気も影響したとみられる。

【近藤将勝】

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