2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

危険ドラッグで暴走 ベンチャー経営者の末路(前)

天神の目抜き通りで危険ドラッグによる衝撃的な暴走事故が起きてから1年9カ月余りが過ぎた15年10月下旬。事故を起こした荒木氏が代表を務める(株)テンペストパワーは、福岡地裁に破産を申し立てた。

ネットベンチャーとして成長
 同社は、システムエンジニア(SE)としてIT業界で働いた経験を持つ荒木代表が、実兄が行っていたヤフーオークションでの車の部品販売事業を引き継いだのが始まりである。2004年3月頃から荒木代表は事業に携わっていたが、兄の会社が同事業からの撤退を決めたことで、2005年9月に設立した(株)テンペストパワーで事業を引き継いだ。インターネット上で同社が注文を受け、発送はメーカーや卸売業者が直接行う、いわゆる「ドロップシッピング」の販売形態だ。在庫を持たずに済むのが最大のメリットだ。

 当初は個人オークションの延長線上での事業展開だったが、自動車部品メーカーや取り付け業者との提携を進め、自動車パーツ販売サイトとして知名度を誇るようになる。同社サイトを通じて部品を購入した消費者は、自分が指定する取り付け業者の工場にメーカーから納品してもらい、そこで完成品を受け取る。自宅に大きな商品が届くといった煩わしさや、わざわざ取り付け工場に持っていくという手間が省けることが好評を博し、同社は業容を拡大した。販売開始時は「Yahoo!オークション(現ヤフオク!)」が販路だったが、初年度に自社サイトを開設し、それ以降も「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」「DeNAショッピング」等にも販路を広げた。提携業者が100社を超えたあたりから軌道に乗り始め、近年の提携業者は北海道から沖縄まで、約900社に及んでいた。

 2012年8月期には7億円を超える売上高にまで成長し、若手経営者が率いるネットベンチャー企業として、徐々に注目も集めるようになった。少数精鋭主義で業績拡大に突き進み、順風満帆に見えた同社だったが、社員の離脱で次第に歯車が狂い始める。
(つづく)
【特別取材班】

 

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