縄文アイヌ研究会 主宰 澤田健一
バヌアツから14点の縄文土器が出土したという話を聞いたことがあるでしょうか。フランスの考古学者が発掘したものでしたが、日本の考古学者はこれを否定しました。パリの人類博物館が、慶應義塾大学から寄贈された土器と、出土物を取り違えたのだということです。
もしこれが本当であれば寄贈物を出土物と間違えるなど博物館のミスとしてはお粗末すぎます。もちろんフランスの学者は「ミスはなかった」と主張しています。
日本の学者はこんな無礼な批判をしているが、何を根拠としているかというと、某懇親会で出た話だそうです。慶應義塾大学の関係者が寄贈したのだというが、その名前は出てきません。こんな飲み会での、しかも実名すら出てこない与太話を根拠にフランスの学者の批判をしているのです。
日本の学者たちは、日本文化は世界で劣っていると信じ込んできたからこそ、こんな話がまかり通るのでしょう。縄文人がそんな遠い島まで行けるはずがない、と決め付けているのです。
ところが、令和になって核DNA解析技術が飛躍的に進歩すると、すべての東ユーラシア人は南方ルートでやってきたと公表されました。日本民族も南方からやってきたのです。仮にカリマンタンを出発地とすると、日本列島に到達するまで約3,000キロもの長距離を、丸木舟を手で漕いで辿り着いたことになります。私たちのご先祖さまは、あまりにも強靭な人々だったのです。
日本初上陸は約4万年前です。そのころは土器のような貯蔵容器をもっておらず、従って飢えや渇きに耐えながらの大冒険でした。その挑戦に成功したからこそ、ホモ・サピエンスが日本列島に上陸することができたのです。
やがて1万6,000年前頃になると土器の製造に成功します。すると、縄文土器を丸木舟に積み込めば、水や食料を確保しながらの航海が可能となりました。縄文土器を手にした強靭なその人々は、世界の何処までも行けたのです。
その後で世界中から土器が出土し始めます。そしてその初めての土器には、縄目の文様があるのです。なかには櫛目文や連点文などもありますが、どれも縄文土器の一器種です。ということは、世界各地から初めて出土する土器とは、縄文土器なのです。
ここで土器の発祥と伝播の経緯を見ておきましょう。以前は、土器は一地域で誕生し、それが世界中に広がっていったと学者たちは考えていました。その発祥地は西アジアだと考えられていました。それが東方にも伝播していき、最後に登場したのが日本の縄文土器だとしていたのです。日本文化は遅れた文化だと信じ込んでいる学者たちには納得がいく経緯だったのです。
しかし、日本の縄文土器のほうが古いと分かった途端、学者たちはまったく異なる見解を示し始めました。土器製作は他地域に伝播したのではなく、各地で独自に誕生したのだと言い始めたのです。これは、日本の技術がルーツであるはずがないと言っているのです。
こうした意味不明な思考を重ねているからこそ、古代史解明が迷路に入りこんでいくことになります。日本の学者たちの罪は大きいです。初めから言っていた通り、土器製作は一地域で誕生し、その技術が世界に拡散していったと考えればいいのです。その発祥地が西アジアではなく、日本列島だったということです。
さて、櫛目文土器という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。これは古代朝鮮文化を代表する土器とされます。実はこれと同じ土器がフィンランドからもシベリアからも中国からも出土していて、それらはまったく同じ物だと表現されています。
そして、櫛目文土器という名称は朝鮮独自のものではなく、フィンランドのカムケラミークに由来しています。施工具は櫛なのであろうという意味から、ドイツ語でカムケラミークと命名されたのを、漢字に置き換えて櫛目文土器という名称となったのです。しかも、これらの地域ではほぼ同時期に突然出土し始めます。
櫛目文土器に限らず、世界中の土器は突然、完成形の縄文土器が出土していて、どれも前段階の技術が確認されていません。こんな不自然なことが世界各地で一斉に起こることなどあり得ません。
それに対して、日本初出土の縄文土器には、縄目の文様がない。まずは土器自体の作製に試行錯誤していたのでしょう。土器製作の技術が完成した後になって、その器面に文様を入れることを思いついたのだと考えられます。
櫛目文土器やカムケラミークと呼ばれる土器は、日本では北部九州で作製されていて、曽畑式土器と呼ばれています。それらは文様がそっくりというだけでなく、その独特な製法まで一緒です。粘土に滑石を混ぜるのですが、その量は大量であり、他の土器とは異なっているのです。そんな特殊な土器が、地球の裏側の南米からも出土しています。
しかも曽畑式の基になった土器は轟式と呼ばれ、北部九州の土器の型式変遷は解明されています。その流れのなかで曽畑式土器が誕生しました。他地域では確認されない前段の技術が存在しているのです。
曽畑式土器に限らず、日本で誕生したさまざまな器種の縄文土器が、世界中から出土しているのです。

				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
							
							
							
        
                          
                          
                          
                          
                          
									






