【衆院選こぼれ話】福岡1区、落選会場の風景

 開票が始まった午後8時、自由民主党議員の当選確実を伝える速報が各地で相次いだ。福岡1区(福岡市博多区・福岡市東区の一部)も例外ではない。中道改革連合から立候補した丸尾圭祐氏の支援者らが集まる会場では、同区の自民党現職・井上貴博氏の当確報道が流れると、溜息が静かに木霊した。

 丸尾氏は2024年の衆院選に立憲民主党から立候補し、井上氏に敗れたものの、比例代表九州ブロックで当選していた堤かなめ氏が大野城市長選挙に立候補するため辞職したことにともない、昨年8月に繰り上げ当選した経緯がある。今回、小選挙区でのリベンジに挑んだが、その思いは届かなかった。

 午後8時40分頃、丸尾氏は支援者の前に姿を現し、会場前方に設けられたステージに登壇した。小選挙区敗北の弁に立った丸尾氏は、高市内閣の高い支持率を背景に自民党が優勢となっている現状に触れ、「憲法改正という事態になりかねない」と強い危機感を示した。そのうえで、中道改革連合の理念である、平和を守る人間中心の社会、すなわち「生活者ファースト」の意義を改めて訴えた。

 会場には重たい空気が漂っていたが、支援者席の一角から「まだ比例があるよ! これから、これから!」と温かな檄が飛ぶと、丸尾氏の表情には束の間、笑みが浮かんだ。

 午後10時。依然として自民党優勢を伝え続けるテレビの音声が会場を圧するなか、比例復活を待つ支持者たちの姿があった。しかし、雪がちらつく気温1℃の寒空のなか駆けつけた人々を気遣い、丸尾氏陣営は会場を閉める判断を下した。

 丸尾氏は「大変厳しい選挙戦となり、正直、比例もどうなるか……。それでも、皆さまのご協力に大変心強さを感じました。私はまだ折れておりません。今回の結果をしっかりと受け止め、今後の政治活動に精励してまいります」と支援者に語りかけた。会場出口に立った丸尾氏は、帰途につく支援者1人ひとりに感謝の言葉をかけ、再起を誓っていた。

 結果は小選挙区、比例代表ともに落選となった。しかし、支援者を常に慮る丸尾氏の姿は、国民の生活を守るという「中道の理念」を体現しているかのようでもあった。

【若松大生】

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