高市早苗政権発足から半年が経過した。政権支持率は各種調査で6割前後の高水準を維持しているが、12日投開票の東京・練馬区長選挙など地方選で自民党が推薦した候補者が相次いで敗れている。
福岡県においても、19日に投開票が行われた朝倉市と嘉麻市の両市長選挙において自民推薦候補が新人候補に敗北する結果となった。
朝倉市長選には、現職・新人2人が立候補。無所属新人で元市議会議長・中島秀樹氏が、無所属現職で3選を目指した林裕二氏(自民推薦)を破って当選した。
当日有権者数は4万747人、投票率は46.33%。前回選(22年)は無投票だったが、前々回(18年)が52.79%であり、今回選は過去最低の投票率であった。
中島氏は、「若者の流出に歯止めをかける」ことを朝倉市の最重要戦略課題としたうえで、具体策として子育て支援や企業誘致、朝倉支所と杷木支所の空きスペースを活用してのスタートアップ企業の支援などを訴え支持を広げた。
また、中国在住の人物が代表を務める不動産開発会社によるマンション建設計画に反対の立場を表明。選挙戦最終日には政治系動画チャンネル「センキョタイムズ」のライブ配信に出演するなどして、幅広い年齢層の関心を集めた。
林氏は、県議時代からつながりが深い農政連など50を超える団体から推薦を受け組織戦を展開。地元国会議員や県議も応援に入ったが、旧態依然とした地方行政の変革を求める声を前に及ばなかった。
同日投開票の嘉麻市長選は、無所属新人で前市議の佐伯憲子氏が無所属現職の赤間幸弘氏(自民・公明推薦)を破り、初当選を果たした。同市の女性市長は初となる。投票率は49.26%で、前回選48.94%に比べ微増であった。
民間有識者らでつくる「人口戦略会議」が24年に公表した報告書で嘉麻市は将来的に「消滅可能性がある」とされている。
嘉麻市は06年に旧山田市と3町(碓井、稲築、嘉穂の各町)が合併して誕生して20年となるが、人口減少が続いており、最大300万円の「転入者等住まい応援交付金」や大学生までを対象に通学交通費の半額補助を受ける制度をつくるなど定住促進政策に取り組んでいる。
佐伯氏は、旧山田市職員も務めた経験を生かし、「女性や若者に選ばれ、『住んでよかった、これからも住み続けたい』と思ってもらえる嘉麻市を、皆さんと一緒に創っていきたい」と市民参画をアピールしつつ、現職に批判的な市議や市民らによる草の根選挙を展開した。
赤間氏は全国市長会副会長を務めており、3期の実績として新庁舎建設などを挙げたが改革を求める声に対し現職の強みを生かすことができなかった。
朝倉・嘉麻両市ともに人口減少や企業誘致による雇用創出、財政問題など全国の自治体に共通する課題がある。保守地盤の強い地域でも自民党を支えてきた層から旧態依然とした行政への不満の声が聞かれる。
19日投開票の市長選では、滋賀県近江八幡市長選や千葉県東金市市長選でも自民推薦候補が落選しており、国政では高市人気を背景に優位にある自民党だが、生活に密着した地方選では不満を持つ層の声を拾えていない現実が浮き彫りになったといえるのではないだろうか。
【近藤将勝】








