全国賃貸管理ビジネス協会(以下、全管協)名誉会長・高橋誠一氏が、自民党ちんたい支部連合会会長、全国賃貸住宅経営者政治連盟会長として、与党自民党と近い関係にあることを一連の記事で明らかにしてきた。
前回の記事では、高橋氏が複数の政権幹部(当時)や高級官僚(当時)と面談した際、自身が代表取締役会長兼社長を務めるALINインターナショナル(株)(以下、ALIN社)のごみ処理プラントについて、商品説明や営業を行っていたことを明らかにした。
高橋氏が会長を務める全管協と自民党ちんたい支部連合会は、医師会や特定郵便局長会など数ある自民党職域支部内でも最大規模の党員数(約4万人/2024年)を誇る。数の力を背景にしているからこそ、高橋氏は政権幹部や高級官僚と面談できるのであって、一般人が同様の機会を得ることは極めて困難であろう。
全管協の会員は、自民党の党員獲得に並々ならぬ努力を払ってきた。その結果として得た全管協の影響力を、高橋氏だけが自身の経営する会社の利益となるごみ処理プラントの説明や営業機会に利用していたとすれば、それは重大な問題と言わざるを得ない。
自民党総裁選でA氏への投票を呼びかけ
また、さらに多くの全管協会員に取材を進めた中で、驚くべき事実が判明した。これまで全管協とは関係が薄かった特定の自民党幹部に票を回す動きと、高橋氏が代表を務めるALIN社のごみ処理プラントのつながりである。
関係者によると、高橋誠一氏は、以下の事実を自慢げに周囲に話していたという。
近年行われた自民党の総裁選に際し、立候補するA氏が総裁選の数カ月前に高橋氏と面談。「全管協の一部の党員票を私(A氏)に回してほしい」と依頼したというものだ。
A氏の依頼に対して高橋氏は交換条件として次のような依頼を行ったという。すなわち、高橋氏が経営するALIN社のごみ処理プラントなどを海外にも販売するために、政府が支援する国のODA資金を使って、ALIN社のごみ処理プラント等の購入を検討するよう、開発途上国に働きかけてほしいと、A氏に依頼したというのだ。その依頼をA氏は快諾したという。
以上が、自民党総裁選におけるA氏支援について高橋氏自らが自慢げに話していたことだ。
そして実際に、A氏と高橋氏の面談後、差出人「全国賃貸管理ビジネス協会 名誉会長、自由民主党ちんたい支部連合会、全国賃貸住宅経営者政治連盟、会長高橋誠一」名で一通の文書が出された。宛先は「全国賃貸管理ビジネス協会 支部長・理事、自由民主党ちんたい支部 職域支部長 各位」に対してである。
文書は「自民党総裁選挙への支援体制について」と題し、北海道・宮城県・山形県・栃木県・群馬県・茨城県・山梨県・富山県・福井県・熊本県・沖縄県の職域支部長などに対して、「A候補への団体としてのご支援を賜りたく、支部長・理事・各職域支部長におかれましては、下記の件、ご協力とご対応をお願い申し上げます。」とA氏に対する投票を依頼している。
複数の全管協関係者に話をきいたが、多くの全管協会員は、高橋氏や全管協がA氏を支援するなど、それ以前には一度も聞いたことがなかった。ある全管協会員は、突然、A氏を支援するように通知を受けたことに「驚いた」と述べつつ当社の取材に対して次のように語った。
「一生懸命A氏の名前を書くよう依頼をしました。しかし、自民党員を増やす過程において、全管協本部の圧力と自民党ちんたい支部連合会の不適切な説明によって、他人の党費を払ってしまった会員も多く、複雑な気持ちでした」
このA氏への投票呼び掛けの原因に、高橋氏の自慢話が関係しているとすれば、高橋氏は自身が経営するALIN社の利益のために、全管協の自民党員票を利用しようとしたことになる。
時系列的に見ても、高橋氏の話は、A氏との面談、A氏からの一部党員票の要請、ALIN社のごみ処理プラント等の営業、A氏の快諾、A氏の総裁選立候補表明、告示の翌日に高橋氏の名前で11の職域支部などに対し、A氏を支援するよう書面にて依頼したことなど整合性が取れている。
なお、全国組織・全管協を仕切る高橋誠一名誉会長とは(3)で、ちんたい議連会長を務める石破茂前首相との近さ、(4)では、全管協が昨年10月の自民党総裁選で小泉進次郎氏を支援した事実を紹介したが、全管協関係者が語ったように、A氏はそれまで名前が挙がったことがなかった人物である。
複数の全管協会員は、「全管協の自民党党員は、会員が努力に努力を重ね増やしてきた。裏で自身が経営する会社の利益のためにA氏への投票を行っていたのであれば、許すことができない」と語った。
また、「ODAは一般的には開発途上国の経済発展や福祉の向上を目的として、国民の税金から拠出されており、自民党の党員数を背景に複数の政権幹部(当時)や高級官僚(当時)へ説明や営業を行ったのであれば国民を欺くことになる」と断じた。
(つづく)
【近藤将勝】








