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2016年03月07日 07:02

未来に向けて考えていくべき『環境社会』 「未来を切り拓く」福岡への提言200人 

有馬裕之+Urban Fourth 代表/建築家 有馬 裕之

本当の意味での豊かさ

有馬裕之+Urban Fourth 有馬 裕之 代表<

有馬裕之+Urban Fourth 有馬 裕之 代表

 これまで都市というのは、経済が集中した建築の集積であり、時代の象徴だったわけで、情報と経済の集まる場所というよくできたモデルでもありました。しかし、地域の環境を主体とする環境社会という概念は忘れられていました。そして、そろそろ時代は変わってきて、新しい環境社会の概念が必要じゃないかと思っているわけです。ただ集中して建てればいいという成長時代から、バランスある価値創造の環境形成にシフトを変える時代になってきているのではないかという予測をしています。

 もちろん、効率的な経済主義というものはそう単純には否定できません。ですが、それがある一方で、効率だけではなく、それ以外の多様性を包含したもっと文化的なもの、地域エリアにある独自の個性的なものを「価値あるもの」として再構成し新しい焦点を当てること…それを本当の融合調和なものとしてやる段階が来るという考えを持っています。

 20世紀のいわゆる近代主義と言われた建築は、抽象化し、要するにできるだけ表面積を小さく無駄がないようにして、そのことで経済性を得て性能を上げるようなイメージを持っていたわけです。そして、それは今では極端に発達しました。そして、海外に行けば行くほど、実は日本が一番そうした方向に極端に進んでしまっているのではないかと気づかされます。もちろん、そうしたことによって、経済を引っ張って、日本を発展させてきた面もあります。ですが、よく考えてみると、本来の日本にとってのモデルは、単純に経済だけがすごく発達していくとか、調和を忘れて効率的なことをするだけではないでしょう。

 もうそろそろ、そうした流れを見直す時期が来ているのではないかと、私は思っています。そのためには、本当の国の豊かさをつくるためのプログラムを、地域的に実現する段階が来ているんじゃないかと感じています。

多様性を認め、それぞれをさらに面白く

 今は、環境や地球を守ることが、この社会の流行のテーマになっています。ただし、20世紀のような建築をつくっていたら、実は、そこはたどり着きません。環境という、要するに緑化やエネルギーという意味だけじゃない、社会の体制としての環境社会という概念という意味では、たどり着いていない。今は、我々は、ひたすら均質化して、みんな同じというふうにして、また現実に目を背けて、摩擦や悲劇を限界まで高めて自滅していきつつあるのじゃないかというような恐れがあります。

 都市や地域というものが、「もっと多様な人々を受け入れて活動できる方向に向かわないといけない」「都市に住むよりも田舎の良さを生かした生き方をしよう」など…これまでの均質志向の効率一辺倒の考えから、どうやって私たちは新しい価値にシフトしていけるかを考えるのが重要になってきています。

 それは、文化を生み出すことであり、地域に個性ある風景を創造することであり、時代を前に進めることを創造することであり、古いタイプの普遍性という近代の夢を追い求めていくことではない。もっと多様性を認めて、それぞれをさらに面白くすることが必要な大変動の時代になっているんじゃないかな、ということなんですね。

 これからはただ効率的に利益を求めるだけじゃ寂しくつまらない。テクノロジーだけによる環境産業だけでも、人間の新しい生活を提案できるとは思えません。「環境社会」的発想によって、都市や建築そのものの意味を変換し変えることが、まさにこれからであり、将来像を模索することであり、最大の課題になっていくだろうし、それに積極的に取り組んでいこうと思っています。(談)

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

<INFORMATION>
有馬裕之+Urban Fourth
代 表:有馬 裕之
所在地:福岡市中央区高宮4-14-6(Fukuoka studio)
    東京都目黒区駒場1-32-17(Tokyo studio)
設 立:1990年
TEL:092-531-3236(Fukuoka studio)
    03-5454-2063(Tokyo studio)

<プロフィール>
arima_pr有馬 裕之(ありま ひろゆき)
1956年、鹿児島県生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、80年に(株)竹中工務店入社。90年「有馬裕之+Urban Fourth」設立。国内外での受賞暦多数。作品群は、都市計画から建築、インテリア、グラフィックデザイン、プロダクトデザインなど多岐にわたる。

 
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