2024年04月26日( 金 )

故郷・久留米の風景~ずっと在り続けて変わらないもの

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画家 吉武 弘樹

ダリの絵を見て画家の道を志す

画家 吉武 弘樹 氏<

画家 吉武 弘樹 氏

 故郷・久留米の風景をモチーフとした作品を多く手がける吉武弘樹氏は、『不変性』をコンセプトにした作風が特徴の画家だ。まち並み、人々、文化…。目の当たりにする風景が時間の経過とともに様変わりしていくなかで、故郷の久留米で昔よく見た風景が吉武氏の作品には数多く登場する。

 吉武氏は小・中学校を地元久留米で過ごし、高校は長崎・佐世保の高校に進学した。高校3年の春、サルバドール・ダリの絵を見て画家を志した吉武氏は、『芸術の東大』とも言われる東京藝術大学美術学部絵画科に入学した。芸術界の天才が集う同大学で、真面目な吉武氏は作品制作にひたすら没頭した。現在のような絵画スタイルとなったのは、大学4年時に、地元・久留米に帰省したときのこと。「ふと、地元を散策していて、筑後川を緑が挟み、市役所やマンション、その向こうに連なる耳納連山を見ました。高校のときから久留米を離れていました。たまに帰ってきて空を見上げれば、とても広く感じました。それを見た瞬間、『こういうのをベースに絵が描けたらいいな』と感じたのがキッカケです」と吉武氏は語る。自分らしい絵を描けるのは、故郷・久留米しかないと思った。以後、故郷で見た風景をモチーフとした作品を多く手がけるようになった。

 吉武氏の作品は山、川、空、木々などの自然が多く登場する。自然に加えて、未来永劫続いていく代々なものとしてある地平線をベースにし、故郷の自然と近代的、独創的な発想によって産み出した怪獣や建物などが登場する。見ていてどこか懐かしさを感じつつ、新しい作風に魅了されてしまう。吉武氏の作品は、永遠性をもエッセンスとして抽入しているのが特徴だ。

将来は海外で活動へ

 謙虚な人柄であるが、吉武氏の大学の卒業作品は台東区長賞を受賞した。これは大学の油絵と日本画の部門で各1名ずつ選出される賞だ。また、同作品は同年、平山郁夫賞を受賞。吉武氏は大学院の修士課程も修了した。2012年には第8回世界絵画大賞展に入選。昨年9月には地元・久留米で初めて個展(吉武弘樹―原風景―)を開催。現在、東京の画廊や百貨店などでも随時、個展を開いている。

 現在は国内を中心に活動している吉武氏だが、将来的には活動の幅を海外にも広げる考えだ。「人種が違う人たちに、自分の作品がどのように捉えられるか?」。フランス、イタリア、スペイン。多くの美の巨匠たちを排出した国々の変わらない風景と、久留米の風景を合わせてみたいと言う。「外国人の友人は日本人の絵を丸いと表現します。外国で私の故郷・久留米のまちの絵がどのように見られるのか?気付いてないことを気付かされるような気がします」と、常に作品から広がる無限の可能性を追い求めている。今後の活躍が期待される、新進気鋭の画家の1人である。

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

【受賞歴】
2009年 卒業制作 台東区長賞、平山郁夫賞
2012年 第8回世界絵画大賞展 入選
2015年 第4回青木繁記念大賞
    西日本美術展 特別賞(テレビ西日本賞)
【展覧会】
2012年 artist shuffle ハート♡のA(エース)を
みつけよう(銀座三越、東京)
2014年 個展「原風景」(石橋美術館 本館 1Fギャラリー)
個展「原風景」(福岡三越9F岩田屋三越美術画廊、福岡)
2015年 個展「絵画展」(天満屋、広島)
【アートフェア】
2010年 アートフェア東京2010(東京国際フォーラム、東京)

<INFORMATION>
アトリエ:福岡県久留米市野中町908-1(九州籃胎漆器(株)内)
URL:http://www.hirokiyoshitake.com/

<プロフィール>
yositake吉武 弘樹(よしたけ ひろき)
1982年、福岡県久留米市生まれ。2009年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。11年、同大大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了。

 

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