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2016年12月02日 14:27

小倉・魚町銀天街から始まるリノベーション活動(7) 地域づくりにマーケティング発想を! 

「ビッコロ三番街」の開業

 実は、中屋興産ビルにはもう1つのリノベーション事例があります。
 それは「中屋ビル1階フロアを銀天街(大通り)からサンロード(裏通り)へと通り抜けできる小さな商店街にリノベーションした【ビッコロ三番街】」(前掲書より)です。

 これは「民間の不動産(中屋ビル)の内部をストリートとして誰でも通れるようにしたものだ。本来ならドラッグストアでも入れれば一番収益性が高い路面店舗を半公共的な空間として活用することで、まちの回遊性を高めることをめざしている」(同)のです。私有地を公共通路にしてしまったのです。しかし、そのために通行者の数が増え、結果的にビルの奥側の本来なら坪単価が安くなるスペースでもある程度の賃料を得ることができたというから、まるでマジックのようです。

 このように自由な発想ができるところが、このプロジェクトに関わる方々の良いところです。ビッコロ三番街は、2014年6月にオープンしました。

「リノベーションスクール」の開催

 さて、以上、数回にわたって小倉家守構想から中屋興産ビルのリノベーションについてお話してきました。
 このリノベーションの実践・成功例をもとに小倉家守構想の推進者である清水義次氏は北九州市の支援のもとに、このノウハウを広く公開すべく「リノベーションスクール」(登録商標)を開催するに至ります。嶋田氏自身が書いていますが、「リノベーションスクール」とは、まさに先の清水義次氏の発明であると。清水氏の提唱する小倉家守構想を実現するための手段でもあります。

 第1回のリノベーションスクールは、11年8月に開催されます。「メルカート三番街」のオープンが同年6月ですから、その直後にもう開催しているのです。
 記念すべき「第1回リノベーションスクール@北九州」は、11年8月末に3泊4日にわたって開催されました。PRの効果、中屋ビルリノベーションの成功もあって受講者は広域から参加しています。
 そのプログラムは、エリアサーベイを皮切りに、レクチャー→ユニット・ワーク→プレゼンテーションが繰り返されます。
 受講生が小倉のまち歩き(エリアサーベイ)行い、リノベーションが可能と思われる空き物件を使ったリノベーションプランを提案してもらうわけです。
 「住む地域も年齢も職業もバラバラな受講生たちが8~10人ずつのユニット(=チーム)に分かれてそれぞれ異なる対象案件(地域の空き家物件)を担当し、ユニットごとに調査、作業などを協力して行いながら提案をまとめる」(同)という内容です。私も、後にその様子を横から少し覗かせていただきましたが、なかなか白熱した状況でした。

 ユニット・ワークでは、ユニットマスターと呼ばれるリノベーション業界の第一線で活躍する事業者や実践者が、常にアドバイスを行います。ただし、ユニットマスターは、あくまでもファシリテーター役に徹し、アドバイスを与えるだけです。
 この仕組みを要約すると、まちづくり、商店街再生、空き家再生に興味を持つ若者や意欲のある公務員を集めて、当該地域(商店街等)の現状を調査(観察、ヒアリング)し、再生可能性の高い物件をリストアップし、その物件に関わる課題をユニットで話し合い、そこから再生に関するアイデアやひらめきを共有し、再生プランをまとめあげます。もちろん採算のとれるプランでなくてはいけません。時にとてつもないアイデアが沸き上がることもあるでしょう。それらのプランを最後の段階で参加者全員の前でプレゼンテーションします。時には、当該物件のオーナーもプレゼンに参加します。
 そのオーナーが再生可能性に同意すれば、物件リノベーションの事業化が行われるというわけです。

 その仕組みを図示します。

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資料:北九州市

 嶋田氏は、同書のなかで「リノベーションスクールという発明がまちを変え始めた」と言っていますが、まさにその仕組みは「発明=invention」であると思います。筆者をはじめ、このところ手詰まり感のあった商店街の再生・活性化に関してこの独創的な手法はまさにイノベーションどころかインベンションであると感じる次第です。
 この事業そのものは、下記のような仕組みによって行われています。

資料:北九州市<

資料:北九州市

 この事業が小倉の商店街に及ぼした効果、全国の商店街へ波及する様子については、次回にお話します。

(つづく)

 

<プロフィール>
100609_yoshidaM&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学国際観光学研究センター客員研究員/西日本工業大学客員教授/福岡大学商学部非常勤講師

 
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